蜘蛛ですが、なにか? 馬場翁, 輝竜司

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蜘蛛ですが、なにか? は2015年12月カドカワBOOKSの非常に初期に発売された作品で、最近5巻がでました。この小説からなろう系では味わえないと思っていた小説の面白みを感じましたので共有したいと思います。

軽いネタバレは許していただいて説明します。この話はダンジョンと人間の王国と二つの舞台をいったりきたりするんですが、わりと初期から時間軸がずれてるような気配がありまして、実際片方は10数年未来の話なんですね。それで過去のほうに主人公の蜘蛛がいるんですけど、その蜘蛛が未来でどういう立場になっているのかが、謎としてずっとひっかかるんです。その長ーい伏線が5巻でやっと回収されて、僕は非常に感心しました。こういう長い伏線を引っ張るのって最近は難しいと思うんですよ。なろう系でこれをやってのけるのはただものじゃないなって思いました。あと、小説って一人称だと主人公の主観が全面にでるし三人称だと、すこし俯瞰的な視点になるじゃないですか。この小説だと主人公の一人称での語りが罠になっていて、その未来で主人公がどうなってるのか悟らせにくくなってるんです。こういう小説でしかできない(他ではやりにくいだけでできるかも)仕組みのもの、僕は好きです。

(上記、紅茶さんとこの掲示板に書いたことの転載)