ゲームシナリオのドラマ作法 川邊一外

ゲームシナリオのドラマ作法

ゲームシナリオのドラマ作法

これはむちゃくちゃおもしろい本です。
基本的にはシナリオをどう作るかという本なのですが、その部分のトレーニング法はワークショップで行うことが仮定され、グループでやるものが多く一人でやりにくいかもしれません。そうは言っても重要なことが書いてあると思いますけど。


それより僕が気に入ったのはドラクエ7、8 にファイナルファンタジー9、10などのシナリオの解説や問題点で、なんだか心にひっかかっていたもやがすんなりとれたようでした。


この本はシナリオの解説をする以上完全にネタバレをするので、まだプレーしてない彼岸花の解説は全く読んでいません。
よってそれ以外の部分の評価ですが、上記の作品をしたことがある人なら読む価値のある一冊だと思います。

ファイナルファンタジーの9については好きな作品なのでネタバレで少し考えの変遷を紹介します。

最初にやったときは”作られたものが造物主に反乱を起こす”というテーマだと思いました。
ビビの限られた命を精一杯使う様に感動しました。
しかし、そういう意味ではクジャがラスボスなら納まりがいいですが、本作のラスボスはかなり唐突に感じます。


その後初代のファイナルファンタジーをしまして、”一人一人の悪役も結局なにかとんでもない悪意の手の上で踊っているだけ、真の敵はそのとんでもない悪意”というのがファイナルファンタジーの一貫した思想なんだなぁと納得しました。


しかし、それにしてもFFシリーズはこラスのボスの出現が唐突ですFF4なんかもそうとう唐突でしたね。
この本では”テーマの説明は物語の中盤などですでになされていなくてはならず クライマックスではただその対立があるのみ”というシナリオつくりの基礎的な理屈を教えてくれます。そういわれてみればそのとおり。ファイナルファンタジーの思想が僕が上で述べたようなことならゲーム中でそれなりの説明はやはり必要ですね。


ただ、今回特有の問題としてちょっと難しいのは、このラスボスは最初にほんのちょっと悪役をきっかけを与えるだけで、ゲームの舞台にはあまり登場しないはずだということです。
その悪役にきっかけを与えるシーンの不自然さとかを匂わせるぐらいしかできないと思いますが、印象に残るシーンとしてこういうシーンが必要だったのではないでしょうか。

シナリオ作成関連の図書
http://d.hatena.ne.jp/accelerator/20060121