シティアドヴェンチャーの作り方

最近ggincさんの紹介などでいろいろ論考を読み、TRPGの構成要素とか意思決定(つまり、葛藤の作り方)について少し深い考え方を持てたように思います。

それを思うと、なんでいまさらシティアドヴェンチャー作るのに苦労してるんだ僕らは…と不思議な感じがしてしまいます。僕はTRPGを再開してそろそろ2年ですが15年ぐらい前、子供の時分に、TRPGにはまっていたころからシティアドが楽しい、シティアドがやりたいって話はありました。なんで簡単な作り方が発明されてないのでしょうね?

ルージュのときも思ったんだけど、最近のアリアンロッドは、シナリオギミックをフォーマット化しようとしているのかもしれないな、と思った。
アリアンロッドリプレイハートフル3巻を読んだ。 - 一切余計

シナリオギミックをフォーマット化するのが最近の流れっていうのが酷いもんですよ。

さて、ここ10年のTRPG者は何をしていたのか?という話になるかと思いきや、実は問題はそこではないように思います。むしろ情報はあるのに、そこまでたどりつかないって話ですね。

この下の方に、トーキョーN◎VAの画期的な発明であるキーワードリンクによるシティアドヴェンチャーの話がされています。T系ウェブラジオは古いバックナンバーを消すので、僕の言葉でまとめなおしましょう*1

古典的なシティアドヴェンチャーは”場所”とか”人”とか”情報を得る方法”を指定して、成功すれば知りたい内容を手に入れるという方向でしたが、キーワードリンクによる場合には”内容”を指定して、方法のうまさは判定で済ます方向です。具体的には”(なんかのキーワード)について調べます”っていう行動宣言してダイスをふり、成功すればマスターが新しいキーワードを含んだ情報を渡す感じですね。ダブルクロスのシナリオもこういう方法で書かれています。

この違いは調査方法を”詳しく描写するか”、”判定で済ますか”の違いが大きいように思いますが、それは表面上のことで”方法を選択するのか”、”内容を選択するのか”の違いが主なように思います。キーワードリンクの方法でも、ダイスを振らず、だれだれに会いにいって何を聞くみたいに方法を指定してもいいはずですよね。

マスターの感覚としても随分違う感じになりますよね。古典的な方法では、マスターはどこにいけば何の情報が手に入るのかを決めておくわけですけど、キーワードリンクのやり方では、なになにを調べれば、何々の情報を得るってことを決めるわけです。たぶん具体的には、シナリオを作ったら人や場所についての重要キーワードを全部抜き出して、そのキーワードの関係を決めればいいことになります。

古典的な方法からキーワードリンク的な方法に変えることによって、”マスターにとっての正解を探るゲーム”から”自分の知りたい情報を集めるゲーム”に変わっていることに注意してください。キーワードリンクが古典的な方法に比べて著しく難易度が低くなる場合というのは、時間の制約がないときで、この場合は出てくるキーワードを片っ端から全部調べるのが最適解となります。モンスターもトラップもないダンジョンで宝箱のみある場合、時間が許すなら全部くまなくまわるのが最適解なことは簡単に分かるでしょう。

シティアドで”マスターにとっての正解を探るゲーム”をしたいなら古典的な方法をとるべきだと思うのですが*2、単にシティアドをやろうって思ったときに、そこまでの自覚はないのではないでしょうか。少なくとも僕にはなかったです。自分がどういうゲームをしようとしているのか無自覚なのは、わりといかんことですよ。

最初のほうに書いた、”情報はあるのに、そこまでたどりつかないって話”に戻しますが、ソードワールドだけで遊んでいる場合、なかなかこの情報にたどりつきません。この二つの方向性の違いは、グループSNE的だとかFEAR的だとかそういうレベルの問題ではないのに、属すコミュニティが違いすぎると情報が共有されないわけです。キーワードリンク的な言い方をすると、"トーキョーN◎VA"とか”キーワードリンク”とかいう言葉は、いくら”ソードワールド””情報収集”を検索しても見つからないわけですねw。このブログの読者はなんだかんだ言ってソードワールドのゲーマーが多いと思いますので、書いてみました。目に付かないところに、案外目の覚めるような情報があるものですよ。

*1:僕はトーキョーN◎VAはルルブは持っているもののそんなに熱心に読み込んだわけではないので、微妙なとこがあるかもしれませんけどね。

*2:ネガティブに聞こえてしまうかもしれません。そういう気持ちも多少あるんですがw僕はTRPGでパズルをするのもたまには悪くはないと思っています。ただパズル的な話にするならパズル的な話だと自覚をもち、PLを集めるときにもそれを先に言ったほうが良いと思います。