人に物を伝える難しさ

ggincさんから申し訳なくも早速の返答をいただきましたが、僕の筆が滑っているせいで、一番伝えたいことが伝わらなくなってしまったようですね。人に物を伝えるのは難しいと痛感した次第です。最初にいっておきますが僕が伝えたいことは、論説の冒頭の部分で文脈を固定して欲しいということだけです。それ以外のことはひとまずどうでも良い、伝える重要度の低い案件です。

ここで言われるようにggincさんの記事が不満ならば自分でもっと良いものを書けという話はごもっともなのですが、この記事はTRPGの論説を発展させるというよりもggincさんに私信を伝えることも目的としているので、今回ばかりはお許しください。

僕の記事のコメント

コミュニケーションの遊びなのにあんまり内没されると困るって事情から、なりきりを困った行為と捉えるむきがあるのは分かりますが、セッションで一番心に残ったのがあるパフォーマンスだったということもあると思うので、ポジティブな側面も併記して欲しいと思った次第です。
”なりきり”はなりきることが楽しいの? - ブレーキをかけながらアクセルを踏み込む

に対して

これ以上何をすれば僕が「ポジティヴな面について語った」ことになるのか、ちょっと思案してしまいます。
戴いたコメント紹介 - God & Golem, Inc.

というお返事を頂きましたが、確かに上の僕のコメントはアドバイスとしては不適切で、一旦忘れてもらったほうが良いかと思います。混乱させてしまって申し訳ないですね。

先程も言ったように僕が伝えたいことというのは、論説の冒頭の部分で文脈を固定して欲しいということです。以下長々と話が続きますが、これだけが伝えたいことですので、そこが分かっているなら読み飛ばしていただいてかまいません。

会話型RPGと演技に関するメモ:演技・immersion・LARP - God & Golem, Inc.が元の記事から論旨が外れるということで、独立させたわけですけど、そのせいでこの補稿には導入がないんですね。この補講をなぜ書いたのか、何を問題にしているのかという文脈の紹介を最初に行わないと読者が勝手に文脈を想像、あるいは何も無いところから創造しないといけなくなります。そうすると、書き手の意図とはほとんど関係ない文脈を持ってこられて話がこんがらがってしまいます。例えるなら問題がないところにいきなり解答が書かれているようなもので、読者が勝手に問題を想像した上でさらに解答の正誤を議論したりするとわけがわかりません。

一晩たって頭の冷えたところで考えみると、多分、別個のエントリにした意図で僕とggincさんでは食い違っているのでしょう。ggincさんは前の記事の完成度を高めるために単に分けたつもりだったのでしょうが、僕は該当部分が一個のエントリとして成立しているから分けたのかと解釈して、一個の記事としては不完全な記事なので誤解を招きますよということが言いたかったのです。

冒頭の導入部分で躓いたのは、元の元の記事も同じことなので気をつけて欲しかったのですが、それはまぁ僕の勝手というものですね。全体的にみてこの件は僕の勝手な期待と思い込みから生じているような気がしますんであまり気に病まないで欲しいです。

以下、元の記事の文脈を推測するのにどんだけドタバタしたのかをおまけで書いておきます。読者の頭の中を知るのもたまには良いのではないでしょうか。

僕は元の元の記事会話型RPG(TRPG)における〈プレイング〉の内実(改訂版) - God & Golem, Inc.の文脈がつかめませんでした。今読み返すとそれなりにちゃんと書いてあるのですけど、最初に読んだときには読み飛ばしてしまって頭に入ってこなかったみたいです。でもここで躓いたのは僕だけではなかったはずです。Vampire. Sさんも元の文章の主張は結局何なのか質問してますし*1、xenothさんも同じ印象を抱いています*2。たぶんこの件はggincさんの書き方が悪いというよりも、そもそも考えている問題が難しく、普段よりより一層丁寧に説明する必要があったということなんだと思いますが。

ロールプレイの内実を整理するというエントリの文脈としては例えば以下に挙がるようなものがあります。これらの文脈が異なってしまえば結論は同じでも全く違った論の印象を与えると思われます。

  1. ロールプレイングの正道と邪道を明確にする
  2. あるTRPGシステムがどのようにロールプレイを支援しているのか具体的に評価する
  3. 自分のロールプレイについて迷いを持っている人に訓練の指針を与える
  4. 会話型ロールプレイングゲームの中で空想を複数人で共有するための手順を具体化する

僕は文脈が頭に入らないままコメント欄のやりとりを見て、1の正道と邪道の話かと思いました。そういう方は数多くいるのではないでしょうか。紅茶さんのブックマークのコメントも1と読んでいる節がありますよね。でも、ggincさんの今までを振り返るに、その不毛な論争を一番おもしろくなくと思っているだろう本人が今更それを繰り返すいわれはないなぁと考え直しました。

それで僕は『この記事はどういう意図で書かれているのはよくわからないけど、こうしてロールプレイの内実を詳しく規定すると、あるシステムが担っているロールプレイ支援の仕組みを明確にするのに役に立ちそうだ』と思いまして、ブクマのコメントに『この記事は(言葉を定義しているだけなので)新規性がないが、新たに議論を立ち上げる際に拠り所にすると良いかも』と書いた次第です。

そのあと幻想遊戯さんのブクマコメントをみて、たしかに3のような実プレイに役に立つ訓練の話じゃないよなぁと思ったのですが、紅茶さんのところのコメント*3では、実プレイにおけるテクニックの話をしようとしてるのかと読める部分もあって驚いたりしました。

けっきょくVampire. Sさんとのやりとり*4、を見ましてようやく空想を複数人で共有するための手順の話をしてるのかと合点がいったわけですが、今でも何を問題にしているのか一言では説明しづらいですね。