紳士同盟クロス 11(完結) 種村有菜

紳士同盟クロス 11 (りぼんマスコットコミックス)

紳士同盟クロス 11 (りぼんマスコットコミックス)

完結しちゃいましたね。伏線消化を諦めて急にバツっと断絶したような終わりでした。アマゾンでもだいぶ叩かれていますね。まぁ僕は本書を人に借りて読んでいて、借主がかなりご立腹だったので覚悟して読みました。そのせいかそんなにショックをうける出来ではありませんでした。

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あとはネタバレ感想をば。


二人の王子様が出てくる恋愛ものとなるとやっぱりどっちの王子を選ぶのか、なぜ選ぶのか、その過程が描かれてこそだと思います、ピーチガールズなんて僕みたいに気の弱い男子からするとかなり厳しいマンガですが、そのへん十分過ぎるほどかかれていました。紳士同盟クロスの場合は終わってみたらそこがテーマではなくて、拍子抜けした方が多いんだと思います。

最終的にどっちかというと高成を選んでいるんですが、まぁその結論はいいとしても、どうして選ばれるのかその過程を描いてくれないとなぁ。

まおらと真栗も薄かった…w。同性愛ですしもうちょっと葛藤があってもいいかなぁって思います。

クールビューティの潮さんは僕のお気に入りです。潮さん以外の女性キャラの目の大きさはギャルゲーで慣れている僕からしてもちょっとでかすぎるって感じます。ラキすたは平気でもこれには違和感を感じるのはわれながら不思議なものです。槙ようこは平気なんですけどね〜。

さてだいぶ脱線しましたが、じゃあこのテーマって結局なんだったのでしょう。作者は、このお話のテーマを”諦めない話”としていますが、諦めない話というのは結局喪失がない話になってしまうんですね。喪失がある場合には、それは自分の万能さが失われたということですので、成長話と相性が良いのですが、喪失がない話は子供の万能感を引きずっていて、ご都合な話と受け取られやすいのだろうと思います。

高成視点に立つと、弟との不仲という問題を灰音が潤滑油となって解決するようにも読めますが、それだと灰音はあくまできっかけで高成が試練をクリアするほうがいい話になりそうなものです。

閑雅の話と見た場合には、一応恋愛としては兄に敗れたものの、兄を得るという形で喪失したものと得たもの両方がある形になっているのかなぁ。でも閑雅視点で収まりがよくてもなぁ。やっぱり灰音視点か高成視点で収まりのいい結果になって欲しかった。

灰音視点でみると、何一つ喪失することなく、場を上手く収めているようにも見えるのですが、もしかしたら銃に撃たれて入院というのが灰音の喪失なのかもしれませんね。後遺症も残りませんでしたし印象が薄いのですが…。ここで、意識の戻らない灰音の前で高成と閑雅の一悶着と和解があれば話としての説得力が増したかと思います。まぁそれでも恋愛ものではないのでそのあたりに焦点が変化していくところを描いて欲しいところですがw。