ルルブの表紙問題についての三つの立場

なんだか雪だるまさんのところから、ルルブの表紙がアニメ絵調なのどうよという問題が提起されています。この手の話はよく聞きますが、今回の問題提起ではブログの書影表示機能をつかってうまく例示しているのが新しいところといえそうです。

この話にすぐに飛びつこうと思ったのですが、何を問題にしてるのか分からなくなってきました。ここで立場をいろいろ場合わけしてしてみることにします。

ルルブの購入者としての立場

最も簡単な立場は、自分がルルブの購入者で自分が萌え絵をあんまり好まないので、違う絵にして欲しいというものです。これは大変よくわかります。企業も自社の製品を買ってくれる人間を大事にすべきでしょう。

参考:表紙絵と購入意欲の関係: TRPGオンラインセッション用ツールは如何ですか?

紹介者としての立場

TRPG者としては表紙がアニメ絵だろうがなんだろうが優れたルールであれば買うわけですが、相手がルールの良し悪しで購入を決めるほど、TRPGに慣れ親しんでない場合はどうでしょうか。表紙の印象というのは大事です。

TRPGは想像力を使ってする遊びですから、表紙がアニメ絵かどうかは慣れてくるほど本質的ではなくなってくると思います。キャラシートの絵は特徴や雰囲気を共有するために書かれるのであって、アニメ的な画面を想像するために書かれているわけではありません。キャラシートにすんごいリアルな絵を書く人と、ギャグマンガみたいな絵を書く人が、一緒にセッションすることは可能です。絵の雰囲気の違いは各人の頭の中で修正されます。

別にアニメアニメした雰囲気を持っていることがTRPGの強みというわけでもないでしょうから、TRPGをそういう印象からスタートさせたくない。でもTRPGをするのにどうしても必要なルルブを買うとき、表紙が萌え絵だとそういう印象を取り払うのが難しい。自分がしたい紹介の仕方とルルブの表紙がかみ合わない。雪だるまさんの論はもともとこういう話でした。雪だるまさんの論にでてくる一般人とは紹介者が誰にTRPGを紹介したいのかによって決まるでしょう。紹介される側がTRPGをしそうな人かどうかはとりあえず関係ありません。

マーケティングする立場

揉めやすいのはこの立場です。ルルブの表紙をアニメ絵調にすることは、顧客を絞りすぎていて、そのまわりにいる層の取り込みに失敗するという立場。

この立場は具体的な数字を出さないとまともな議論にならないと思いますが、もっともらしい数字を出すのは大変ですから、言いっぱなしで終わりやすいですね。

また、このとき一般人を問題にしてはまずいですね。マーケティングという立場からは誰に物を売るのかはっきりさせる必要があります。人をアニメ絵・萌え絵に親和的かどうかで場合わけする必要があるでしょう。そうしないと潜在的な顧客数が比較できません。

ニンテンドーDSWiiの例を考えると、アニメやマンガに親和的な層以外からでもTRPGへの参入が期待できないことはないと思いますがどうなんでしょうねぇ。

参考:検証 ルールブック購入の障害! - 現代異能バトル三昧!

その他関連する問題

オタクの定義とセクシャリティ

アニメ絵・萌え絵に親和的かどうか場合分けするときオタクと非オタク(一般人)という言葉で場合わけしてしまうと、オタクとは何かという問題に踏み込んでしまうので、大変炎上しやすい議論になると思います。

さらに、やばいのは今回問題になるオタクの定義にはたぶんセクシャリティの問題が関わっているということです。危険な話題ですね…。要するに女の子の萌え絵をソフトなポルノだとする意見と、たんにかわいい絵だとみる意見の衝突になってしまうので大変悩ましいところです。

表紙が萌え絵だったときの買いにくさをイメージしづらい方は、TRPGのルルブの表紙がもしBL絵だったらということを想像して見てもらえるといいと思います。だいぶ買いづらいですよねw

ライトオタク

若者はみんなライトオタクとか言われているのがほんとかどうか分かりませんが、別にファッション誌だってマンガ特集とか組みますし、僕らシニアが思っている以上に若者はアニメの絵には親しんでいると思います。ただそこに取り上げられるアニメはあまりセクシャルな印象を与えないものが多いかと。

まとめ

TRPGのルルブの表紙が萌え絵であることを問題視する議論が活発になされていますが、同じ事について話し合っているようで、実は立場を共有してないと思われたので立場を3つに整理しました。これで議論の方向性がもう少し整理されるといいなぁと思います。