新米女神は玄人向け?

いろんな文化圏でTRPGの話題がでるとすぐに首をつっこみたくなる悪い癖が僕にはあります。

今回はいちせさんがSW2.0のリプレイの楽しみ方がよくわからなかったようなので、そのあたりを考えてみましょう。

TRPGのリプレイを読むのは、はじめてです。……ごめんなさい、読み物としてどこが面白いのか、全くわからないのですが(汗;。
好きなら、言っちゃえ!! 告白しちゃえ!! [2008年5月]

そういえば昔うぱさんも同じことを言っていましたね。

情景描写や感情描写が無いので、小説のように読むのは難しかった。
途中でなれたけど、序盤はかなり読みづらかった。
中盤以降もちらほらと「小説として読もうとすると、話の流れが不自然」な箇所があった。

小説としての楽しさは皆無だった。というより、そういう本では無い。
http://d.hatena.ne.jp/iris6462/20070914/1189696142

リプレイってラノベと区別なく売ってますからね。何も知らずに読むと衝撃を覚えることがあるのかもしれません。ちなみにロードスのころは同タイトルの小説もあってリプレイもあってという状況でしたので、逆にリプレイって小説と違うんだってことが分かりやすかったのかもしれません。

おそらく、TRPGのお約束を知ってないと、非常にツライ。さっぱり面白さのツボがわかりません(^^;。……思った以上に小説とは別モノで、普通に小説を読むように読んでもさっぱり面白くない予感。や、あくまでプレイすることが前提で、ルールブックを片手に自分でプレイすることを想定しながら読むのが正しいのかしらん?
好きなら、言っちゃえ!! 告白しちゃえ!! [2008年5月]

これはなかなか問題ですね〜。TRPG者はTRPGって何なのかの説明に困ったとき、「リプレイを読めば分かる」というのが常套手段です。単に”TRPGのお勉強”としてリプレイを読むならつまらなくてもいいかもしれませんが、つまらないものを読まされてもTRPGをするモティベーションがあがりませんよね。

あと、あくまで僕の例ですが、僕はル-ルブックより先にリプレイを読むタイプなので、ルールブック片手にリプレイを読みはしません。ルールの確認は後にして、”このシステムは何をするものなのか”を掴むのが、僕のリプレイを読む目的です。ルールブックとにらめっこしながらそのシステムで何ができるのかを掴んでいくのがゲーマーとして正しい姿なんでしょうが、それはまぁそのシステムが好きになってからでも良いかなぁと。とりあえずこのシステムではどういうお話ができるのかを知るために僕はリプレイを読みます。

このシステムで何ができるのかを知るという意味では、新米女神はそれほど悪くないリプレイだったと僕は思います。”旧SWらしい話もできそう”とか”戦闘とか種族はだいぶ変わったなぁ”とか大事なところが伝わってきているからです。

とはいえ、初めてリプレイを読む人に親切だったかと言われると確かにちょっと不満があるかも。旧シリーズを知っている人向けのリプレイだったんじゃないかなぁ。TRPGには大まかにドラマチックなイベントの展開をするのと、ほのぼの・のんびり楽しく、PCの連帯感を深めていくのと二通りあって、本書は旧シリーズの通り後者を指向しています。そういう業界の事情が分かっているとすんなり受け入れれるものの、いきなりだとやっぱり説明不足なところがでてくるんでしょう。いちせさんはナイトウィザードは知っていたのでしょうけど、SNEのリプレイはまた雰囲気が違いますから。

また、確かにPLの立場PCの立場でどういう選択肢をとったらいいのか悩みながら読むと楽しいという側面もリプレイにはありますが、新製品の紹介のリプレイではその側面は薄いほうが良いのではないでしょうか。

リプレイはどういうタイミングででるかというと

というわけですので、リプレイは基本的に入門書です。

僕の考えではリプレイで何しろ伝えなきゃいけないのは遊んでいるPLが楽しそうってことですね。これが伝わらないとリプレイとしては失敗ですね。楽しそうじゃない遊びを勧められても困りますから、入門書の意味を果してないわけです。うぱさんがわりとするどいので引用します。

「TRPGを楽しんでいる人たち」を見て楽しむ本だった。
「人生ゲームで破産している友達を、傍から見る面白さ」や「芸能人がゲームにチャレンジするテレビ番組を見る面白さ」といった方向性だ。
ダブルクロスというTRPGを遊んでいる人たち」の記録を見て楽しむというスタイルだ。

「楽しんでいる人たちを見るのは、楽しい」という理屈で、本書は面白かった。
http://d.hatena.ne.jp/iris6462/20070914/1189696142

リプレイに小説としてのおもしろさ(すばらしい伏線や読者を驚かせる真相や美しい描写)はなくても良いのですが、楽しそうな雰囲気ぐらいは伝わって欲しいものです。ただそれをうちわうけではなく伝えるのはリプレイをもってしてもやはり難しいものなのかも知れませんね。今回の件の教訓はTRPGを紹介する手段としてリプレイに頼りすぎてもいけないということでしょう。

ただ、こうやってTRPGにどっぷりはまってない方がリプレイに手をのばしていくのを見るのは楽しいです。こういうファーストコンタクトがいろいろなところで起こって欲しいものです。