メイキング オブ 『魔獣と少女の大競争』(アリアンロッド シナリオ)


はてなで言うと紅茶さんとかにゃあさんとかとやっているアリアンロッドのシナリオメイキングのお話です。

イデア

スゴロクでダンジョン

キャンペーンも10回目ということで、正直ネタにつまりました。ダンジョンもやったしシティアドもやったし…なんか新しいことやりたいなーって考えていまして、こうぺらぺらとネタ帳をめくりました。
そのなかに、”悠久幻想曲で出てくるダンジョンでのスゴロクみたいな競争”っていう言葉をみつけました。これは確かに今までやってなくて新しい。スゴロク的な処理としてはすぐにガンドッグのTRS(ターゲットレンジシステム)が思い浮かび、今回はミドルフェイズを全部TRS化してみようって方向でシナリオを考え出します。

NPCの取り扱い

もうひとつ思ったのは、GM持ち回り制の問題なのか、他の人のシナリオででてきたNPCを生かせてないって感じがしていました。そこで今回は分かりやすいヒロインを出すことに決めました。話が終盤に向かっていくにあたって、例えば世界の破滅みたいなのを目の前にしたとき、仲の良いNPCや守るべき存在があると、いいシーンが作りやすいでしょう。せっかく絵も描いたので載せておきます(右絵)。えっ?へたくそ?美少女主義者?そんな言葉は聞こえませんよっ!

今回予告・シナリオ概要

まぁちょっとおおげさな感じにするのは今回予告の常。

魔の口の手がかりを求めて訪れた静かな港町。

そこに666匹の魔獣が突如現れる。
一夜にして街の7割を占拠した狼藉者たちを前に
人々はただ神に祈るばかりであった。

そんな人々の中から一人の少女が立ち上がる。
少女のもつ封印の魔道書に迫りくる魔の手。

はたして街に平和は戻るのか。

アリアンロッドTRPG−第10話−
「魔獣と少女の大競争」

冒険の舞台が君を待つ!

要するに危ない魔法の兵器みたいなものの封印がとけそうなので、その兵器の封印ができる少女を護りながら兵器のところまでつれていくというシナリオです。

TRS的進行の説明

TRSがなんなのか分かっている人はとばしてもらってけっこうですが、一応TRSの説明。これはセッション中*1にした説明ほぼそのままです。

概要

封印の間にたどりつくには5つのステップをクリアーしなければならない。

  1. 封印の場所を突き止める
  2. 敵を振り切って入り口までつく
  3. ベクトルフィールドの廊下をぬける
  4. 連続する重いドアの廊下をぬける
  5. スライムトラップをぬける
  • それぞれのステップで成功判定を何度か行い、成功度合いでスゴロクのようにコマを進める。
  • それぞれのステップを1シーンとし、魔法の継続時間がシーンのものはそれに従う。
  • 成功判定を行った回数によってクライマックスやエンディングの結果が異なるので注意すること。
○具体的ルール

S□□□E 1:封印の場所を突き止める、知力で目標14
S□□□E 2:敵を振り切って入り口までつく、敏捷で目標15
S□□□E 3:ベクトルフィールドの廊下をぬける、器用で目標15
S□□□E 4:連続する重いドアの廊下をぬける、筋力で目標15
S□□□E 5:スライムトラップをぬける、感知で目標16

  1. 成功判定失敗   → 動けない
  2. 目標値+2まで成功→ 1つコマを進める
  3. 目標値+4まで成功→ 2つコマを進める
  4. 目標値+6まで成功→ 3つコマを進める
  5. 目標値+8まで成功→ 4つコマを進める
  6. クリティカル   → 直接一段下に進める

スタート(図でS)から4コマ進むとエンド(図E)にたどり着き、下の段のSへ進める。
Eについたときまだ進める分を残していても破棄される。

TRSとアリアンロッド

このTRSは基本的には成功判定のダイスを振って進めるスゴロクなわけですが、実はこれはアリアンロッドと非常に相性がいいシステムです。

フェイトにより資源管理のゲームに

なぜなら、アリアンロッドは”フェイト”というリソースを消費することによって、判定の成功率を自分で変えられるのです。このことにより、単純なスゴロクのようにダイスをふって進むゲームではなくなり、大事なときにリソースを使う、資源管理のゲームとなります。

複数人が判定することによる資源管理(個人的な工夫点)

あんまり複雑になっても管理が面倒になるだけなので、パーティは一つのコマとして扱うことにしました。判定は複数人で行い、最高の値を採用することにします。しかし、このルールのままでは全員とにかく振って偶然クリティカルを待つのが最適解ですよね。それでは簡単すぎるので、罠をしかけて、判定に参加しなかった人が罠を処理することに決めました。このことによりPLは常にPCを判定に参加させるかどうかの意思決定を迫られることになります。

競争者

そういえばこのTRSを使うっていうところまではうまくいったのですが、もともとの”競争”っていうところでは少し失敗しています。僕はパーティを追いかける骸骨型のエネミーを用意したのですが、ダイス目と能力値の関係で全然進んでくれませんでした。PC達の競争者としてははなはだ力不足でしたね。”競争”を扱う時にはテストプレイが重要ですね。反省しています。

総括

このTRSの部分はうまく動いてくれたと思います。
実は他の部分のPCたちにみえる光景の描写や事件背景NPCの台詞なんかはシナリオ作成の時間がなくて練れてないものを使ってしまったのですが、僕がやりたかった部分はそれなりにうまく動いたようです。

アリアンロッドとTRSは相性がいいと思いますのでぜひみなさんも利用してみてください。

補足 地図を描かないダンジョンの方法

そういえば、これは地図を描かないで遊ぶダンジョンの方法の一形態ですね。

にゃあさんのこちらの記事にもそのようなタイプのセッションの仕方が考察されてます。これはAマホ的なやり方ですね。

紙魚砂さんも書いてたか。地図を描かないダンジョンの方法というより、いい構造のダンジョンの抽象論みたいな感じですね。

*1:オンラインセッションなのでテキストが全部残っている