クトゥルフと帝国リプレイ 白無垢の仮面 内山靖二郎

クトゥルフのリプレイも読んでしまいました。


ところで、僕はずっといろんなリプレイの感想を書いてきましたけど、実際に遊んだことのないシステムについては、読み物としての側面を重視して、システム的な面を軽視して読み進めてきちゃったなぁと思いました。いやアリアンロッドの話なんですけど、今までは結構漫然と読んでいたのですが、自分でやるとなってルール細かく見たあとだと各戦局におけるプレイヤーの悩みとかが共感できてより楽しいですね。たとえば旧シリーズの一巻*1で、MPがぎりぎりなシグがプロヴォックとプロテクションどっちを取るべきか悩むシーンとか「うわ〜自分だったらどうするだろ…」と一緒にハラハラすることができました。雰囲気を知るためにリプレイを読んで、おもしろそうだと思ってルール覚えた後はプレイヤーの葛藤を追体験するためにもう一回読んでみてもいいかもしれませんね。


随分前置きが長くなってしまいました。僕はクトゥルフTRPGのルールは持ってないので、この感想はリプレイを読み物として見たときの側面が大きいですよって事を最初に断っておきたかったんです。


さらに言うなら、僕はクトゥルフ原作も読んだことないんですよね。一応読もうと思って昔買ったんですが、結局今になっても積んであります…。僕のクトゥルフの印象は原作のものでなくて、それを元ネタとしたゲームやコミックのものですね。たとえばNitro+というメーカーの作品の中には何作かクトゥルフが元ネタのものがあります。デモンベインとか沙耶の唄とかです。デモンベインは、思ってたものと違ってたので、プレイしたときの印象はあんまりよくなかったんですが、今考えれば普通におもしろい作品だったと思います。沙耶の唄のほうは面白かったですね〜。エロゲーなんですが主人公が脳を怪我したせいで、内臓みたいなぐちゃぐちゃ物質はかわいい女の子に見え、普通の人間は逆に臓腑に見えるようになる、この設定の中で、ラヴロマンス!萌えますね。Nitro+のほうはクトゥルフから化け物とか呪文をもってきているだけで、特に解説とかはないように思います。コミック、退魔針のほうは元ネタとしてとってきて軽く文章で解説なんかもしてますね。だから僕がクトゥルフに対してもっている印象というのはだいたい退魔針あたりから来てるって感じです。


そろそろリプレイの感想に移ります。このリプレイはクトゥルフ神話TRPGのサプリメントクトゥルフと帝国*2で遊んでいます。1920-1930年くらいの日本、この時代設定好きですね。ダブルクロスのウィアードエイジと同様に、科学とオカルトの交じり合い、境界がはっきりしない薄ぼんやりした時代。ちょっと資料集めが面倒ですが、一度はやってみたい時代設定ですね。モダンガールとか言ってみたい。


あっそういえば僕はネットの断片的な情報しかもってなかったのでクトゥルフ神話TRPGを誤解してましたね。もっとこうどんどん人が狂気に陥るのを楽しむ遊びなのかと思ってましたけど、一応探索者の目的はそういうのを調べて正気で生還することだったんですね。それにしても正気度チェックは楽しそうだなぁ(あれ?結局分かってない!?)。


このリプレイは個別オープニングにしたりして、近代的なGM技術も用いられてますね。FEARのゲームで普段遊んでいる人にも、ぜひクトゥルフをやってもらいたいとかそういう意図なんだと思いました。こうやって違う文化圏の人にも配慮して自分たちのやっていることのおもしろさを紹介していくっていうのは非常に好感が持てます。


まとめると、

  1. まずクトゥルフと帝国 世界観が楽しい!
  2. 正気度チェックが楽しい!(おいおい)
  3. 若い読者にも配慮したつくり!

この3点からこのリプレイをお勧めできると思います。