霊光の霊操者(アーティスト) ガープス・リボーンリバース・リプレイ 諸星崇

さて、週末だというのに回線の調子が悪くオンラインTRPGで遊べないのでいじけてリプレイの感想を書きます。


僕は1年ほど前にTRPGを再開したのですが、それでもガープス関係の本には全然触れていないので、かなり遠ざかっています。この感想を書くにあたって昔持っていたガープスベーシックの文庫版を探したのですが、やはり見つからず。ガープスのルールが全然思い出せないまま、リプレイを読み進めていきました。そういうわけでルール把握がいまいちなのですが、いまいちなりに思うことを書き連ねていきたいと思います。しばらく僕の持論が続きますので早く本書の感想を知りたい方は『やっとリプレイの感想へ』からお読みください。

ロールプレイとキャラプレイ

ガープスに関しては、ロールプレイ vs キャラプレイの関係でネット上の意見をいろいろ見ているときに、誰かが面白いことを書いていて、目からウロコが落ちた記憶があります。……でも誰だか思い出せない。書いてた方すみませんと謝りながら紹介します*1。いやぁ”ロールプレイ vs キャラプレイ”、この問題に首を突っ込むのはなかなか勇気が要りますね…。誤解が付きまとい、すぐ喧嘩になりそうです。でも本質的な問題だとは思うので恐れずとりあげていきましょう。


まず言葉の定義をしなきゃいけないのですが、ここからしてなかなか難しいですね…。キャラプレイをキャラの性格を重視するプレイングのスタイルとすると、キャラプレイと対立する概念としてもってくるとしたら、ロールプレイというのは広すぎる言葉だと思います。今回僕が取り扱うのはもっと意味を狭くしてスキル(技能)プレイとかクラス(職業)プレイとか言ったほうが良いものです。ここでは、ロールプレイとは技能を重視するプレイングスタイルを指すことにしましょう。
具体的にいきますと、怖がりな戦士というキャラを作ったときに、怖がりという部分を強調するプレイがキャラプレイ、戦士という部分を強調するプレイがロールプレイとなります。


よく言われるロールプレイ>キャラプレイというのはいくら怖がりの性格付けをしてても、戦士なんだから戦おうよ!っていうものです。これはもっともな話なんですけど、僕は少し違和感がありますね。暴力が嫌いな戦士、魔法を使って世界の均衡を崩したくない魔法使いたちを使って敵にあった時、逃げるかやり過ごすか慎重に考える…これもおもしろい遊び方なんじゃないかと思います。むしろ普通にやるよりおもしろそうですよね。これで盛り上げるのはGMが大変かもしれませんけど。なんで戦いたくないのに戦士を選ぶのか?それはそっちのほうがキャラが引き立つからですね!徹底してキャラプレイ>ロールプレイで遊ぶ。これもまた一興でしょう。

むしろ『TRPGは××でなければならない。』こういう考えが、遊び方を狭くして、新しいアイデアの参入を阻むんではないかと思います。まぁこれは僕の意見なんで、人に強要したりはしないんですけどね、強要するほど力もないですし。

システムの観点から

さてさて、自分の意見をぶちまけてすっきりしたところで、もうすこし違う観点からこの問題をみてみましょう。システムの観点からいえば、すこし昔のTRPG…っていっても僕が知っているのはソードワールドロードス島戦記コンパニオン、トンネルズ&トロールズ(T&T)くらいですが、性格を扱うルールはほぼ無かったかと思います(たぶん…T&Tとかよく覚えててないなぁ フェアリで遊べることと『これでもくらえ!』しか思い出せない)。
そこでガープスの登場です!やっとガープスに話が戻ってきました(ながながとお付き合いいただいてありがとうございます)。ガープスベーシックの文庫版が発売されたときのガープスの売り文句は”汎用TRPG”ってものでした。汎用ルールを提供するので、世界観はオリジナルなものや自分の好きなもので遊んでくださいということで、『ルールは世界観とは独立に考えることができる』という概念は目新しく非常に興味を引きました。自作の世界観は作れても、ちゃんと動くルールを作るのは難しいと考えられていたんでしょうかね。

そちらに気がいき、あまり気がついていませんでしたが、ガープスはキャラクターの性格をルール上で取り扱うシステムという意味では先駆け的な存在だったのです。僕はTRPGを再開してもこのことを認識していませんでしたが、冒頭に書いた通り、どこかのサイトを見て認識しました。

やっとリプレイの感想へ

僕のガープス感ばっかり書いていて、まったくリプレイの感想に入っていませんね(笑)。なんてことだ。でも、今回のリプレイで目を引くのはPC雷の不利な特徴、『騙されやすい、自制9』ですよね。雷はことあるごとにいろんな人に騙されます。おいしいキャラです。こういう不利な特徴で自分自身やパーティを危機に陥れたとしたら、他のシステムだと『かるくうざいプレイ』だと取られかねないですよね。でもガープスだとこれが自然でルールの範囲内のプレイなんです。その不利な特徴分、有利な特徴取れるんですから。誤解を恐れず言うならガープスの醍醐味は不利な特徴から巻き起こされるトラブルであるとそう言っても過言ではありません。そういう意味ではこのリプレイはこのガープスの著しい特徴をうまく紹介していると思います。


ここまで読んでも本書の目的を紹介していないことに驚きを覚えるのですが、このリプレイがどういう企画なのかは冒頭で書かれていて

諸星:なんですか?
先輩:新しいリプレイの企画書。
諸星:はあ……って、あの先輩!?なんかこの企画書だと、まるでぼくが、新しいガープスのリプレイを、しかも新しい世界とそれに対応したルールの解説にもなるような、かつ読んで楽しいストーリーのものを書く、ように読めますが!?
(本書から引用)

ということらしいです。
リボーンリバースは現代社会を背景に”ユウレイ”という超自然な存在とそれを操る霊操者が活躍するホラーアクションです。著者は初めてのGMだったらしいですがしかけるネタがたいへんうまく(僕は何様のつもりなんだ…)。このリボーンリバースの世界をうまく紹介できていると思います。


ルールの解説についてもユウレイの作成とか、楽しさが伝わってきますね。他のシステムでも使い魔的な自分のパートナーをもつことがありますよね。ゲヘナのジンなんかもそうです。そういうシステムで遊んでいる場合にはこのリボーンリバースで使われているアイデアは大変参考になると思いますよ。


しかし、楽しさと同時にやっぱりガープス特有の面倒さも伝わってますね。戦闘が膠着してだれちゃうところとかも隠さず書いてあります。これを読むと『やっぱりガープスってキャラを作るのは楽しいけど、実際セッションしようとすると大変なんだよなぁ』という昔の実感がよみがえってきてしまいますね。ガープスでも、もっとさくさく戦闘が進むようにならないんでしょうか。単に慣れの問題でしょうかね…。う〜むガープスも汎用を謳うからには、重たい戦闘から軽い戦闘まで表現したいゲーム性によって戦闘ルールを変えるとかそういうわけにはいかんのでしょうか。


まとめとしてはリボーンリバースの世界は楽しそうだけど、ガープスの戦闘が面倒そうといったところでした。

*1:目からウロコが落ちる記事を書いていたのは雪だるまさんと判明 失礼しました。ここを参照