WORLD END ECONOMiCA 支倉凍砂
近未来の月面で、株式のトレーダーの少年が一攫千金を夢見て四苦八苦する話である。
kindleで買ったので分からないのだけど、WORLD END ECONOMiCAはどうやら辞書のような厚さの本らしい。ただそんな見かけとは逆に、内容があまりに面白く、冗長な気は全くしなかった。
株式はいつ買うか、いつ売るかのタイミングが大事でギャンブルに似たところがある。1巻は特に、主人公の感じたであろうひりつくような緊張感が伝わってきて手に汗握る一冊だ。冲方丁のマルドゥック・スクランブルのギャンブルのシーンにも似た(あるいはそれ以上の)緊張感が楽しめた。2巻、3巻は実際にあった金融トラブルを下敷きに書かれており、興味深かった。それ以外の要素は王道的なボーイミーツガールではあるが、経済の話がややこしい分、こちらはシンプルで結果的に良かったのではないかと思う。
久しぶりに感心し、心から面白いと思ったラノベだった。