アッチェレランド チャールズ・ストロス, 酒井昭伸訳

アッチェレランド (海外SFノヴェルズ)

アッチェレランド (海外SFノヴェルズ)

少し古い話かもしれませんが、SFが読みたい2010の第二位の作品です。ずいぶん昔に買ったのですが、ついつい積んでおりました。SF熱はあるんですが、読むのは案外大変なんですよね。

さて長らく積んでおりました本書ですが、読み始めてみると面白くて1週間ぐらいで読み通してしまいました。

僕はそれほどたくさんSFを読んでいるわけではありませんが、本書の描きだす社会像は最先端だと感じながら読みました。

よく近未来は大企業が支配している像がとられるのですが、社会的に必要になるものはどんどん移り変わり、どんな大企業も経済の進化にはついて行けないのではないかと思うんですよね。このアッチェレランドこそはそういう世界観で個人的にはかなり説得力があると感じました。

そんな素早く経済が変化する中、法や宗教は根強く残ったりしているってのもなんか分かります。

しかし、そんな社会状況の中でもストーリー的な充実をもたらすのは家族の物語なんですよね。この物語は親子三代三章の物語ですが、感動や感情移入を与えるのはやっぱり人間関係なんですね。

先進的な技術や世界像、宇宙像は面白いけれども感動できないっていうのは理系の僕としては若干不満ではありますが、それが人間としての感性の限界というところなのでしょう。

何にしろ、チャールズ・ストロスという作家に興味が出てきました。違う作品も読んでみたいと思います。