オオカミさんと七人の仲間たち 沖田雅, うなじ
オオカミさんシリーズ11冊を読了しました。
アニメ化された作品なのでそら面白いんだろうと思って読みましたが、個人的にはちょっと不満も残る作品でしたね。
アニメ版を見ている方にはおなじみだと思いますが、本シリーズではナレーションというか地の文の主が性格づけされていまして、いろいろ自分の感想を挟みながら物語を進めていきます。しかし、三人称の小説における語り手というのは、読者としては作者を想定するのですが、作者の感想がはいりまくった小説というのは微妙なような気がしないでしょうか。
さらに言うと、登場人物が他の人の過去や性質について解説しすぎるというのもいただけません。”涼子ちゃんは、こういう過去でこういう性格なんだよね”っていうのを登場人物が詳しく解説しすぎてしまうのは、上から目線すぎますし、なんか気持ち悪さがあります。
とはいえ、昔話をアレンジしたキャラクター造形やシナリオのプロットそのものはけっこう面白く、不満を持ちながらも全巻読破してしまいました。うなじの描く絵はすごく好きです。
個人的にはどうかと思う作品ですが、まぁその地の文が性格を持っているというのも新しい文体なのかもしれず、それなりに面白い試みではあったように思います。