完成させられない論考のメモ書き
今はあんまりTRPG論考として説得力のあるものを書ける状況ではないのですが、もしかしたらアイデアだけでも書いておくと誰かの刺激になるかもしれないと思ってメモを公開しておこうかと。
グランドホテル型の物語分類
映画では、ロードムービー型とグランドホテル型に展開パターンを分類するらしい。前者は旅物、往きて還りし物語として理論がよく整理されている気がするが、複数の人物が事件が起こる同じ場所に居合わせるというグランドホテル型の群像劇的シナリオ展開についての理論があまり詳しく書かれたものがないように思う。こういった話は往きて還りしとかビルドゥングスロマンとは違った枠組みで整理することが必要なのではないだろうか。
プレイヤー目線のシナリオ作成術
昔、シーンの構造解析の話をしたことがあったが*1、それはGM視点というか神様目線というか全体を俯瞰するものだったように思う。僕はそこにちょっと疑問を抱いていて、シーン間をつなぐのはプレイヤーの興味なんじゃないかという仮説を持っている。GMの説明の事情でシーンが展開されるんじゃなく、プレイヤーの興味にしたがってシーン展開を記述するべきではなかろうか。10年メシが食える漫画家入門 悪魔の脚本 魔法のデッサン (アフタヌーン新書 9)にも書いてあるが、重要なのは起承転結よりも誘い・焦らし・満足で、シナリオ構成もそのように行われると良いと思う。もちろん既存のシナリオも改めて解析してみればそういう風にできていると思うのだけど、新しいシナリオを作るときの意識の持ち方として、起承転結よりも誘い、焦らし、満足を意識したほうがGM勝手なシナリオができる可能性が減りそう。
伏せカードとしての”転”の展開
上では起承転結よりも大事なものがあるという話をしたけれども、上級編としてはそこに驚き、転の展開があるのも良い。オープニングで状況説明をしてミドルではプレイヤー側が物語を進め、クライマックスに至るという普通の流れにアクセントとしてGM側から新たなシーン展開を持ち出すのも良いと思う。そのときに、なんの脈絡もなくGMからシーンの展開が行われると、GMの手のひらで踊っている感が強くでて、おもしろみに欠けることがある。GMからのシーン展開はプレイヤーのミドルでの行動へのリアクションとして生じると思って、種をしかけると良いのではないか。
イメージとしてはマジックザギャザリングの伏せカードみたいにシーン展開を伏せておいて、プレイヤーがとある行動をしたら発動するような感じ。
このへんのことを考えるには以下の記事が参考になりそう。
「Role&Roll」誌のVol.44には、小林正親さんによる「『ナイトメアハンター・ディープ』で創る実践・脚本術〈追跡編〉」という記事があります。
この記事は、RPGというジャンルのオリジナリティを「タイミング」と「舞台」というこれまであまり語られなかった着眼点から示した労作で、『ナイトメアハンター・ディープ』という特定のタイトルのみに留まらない、RPGというジャンルの普遍的な構造に繋がる問題をやさしい言葉で語った記事なのですが、その「タイミング」と「舞台」を考えるための導きの糸として、『ゴドーを待ちながら』が用いられています。
RPGと批評の幸福な関係 - Flying to Wake Island 岡和田晃公式サイト(新)
ここで言うタイミングというのは、ストーリーラインを変化させる「アクシデント」、「事件」のことなんですが、このタイミングの取り方、設置の仕方を整理するとよさそうな気がします。