W.L.O. 世界恋愛機構 あかべぇそふとつぅ

W.L.O. 世界恋愛機構

W.L.O. 世界恋愛機構

あかべぇそふと系列のゲームはシナリオが凝っているという印象を持っています。僕もはまっていまして、今まで3作遊ばさせていただいていますから、これで4作目ですね。

雰囲気をつかんでいただくために、とりあえずオープニングの動画をはりましょう。

さてW.L.O.世界恋愛機構ですが、ジャンルとしては非常に典型的な学園ラブコメディです。エロゲにおいて非常にありがちなジャンルではありますが、実は学園ラブコメディに純化すればするほど名作が生れにくいのではないかと僕は思います。それというのもノベルゲームにおける名作さは、感動の度合いによって測られますが、感動を生み出すような大きな障害が学園ラブコメディでは設定しにくいわけです。学園ラブコメディを舞台にしつつもメインとなるのは不治の病であったり、主人公とヒロインを襲う不幸であったりするならば良いのですが、学園ラブコメディで感動作を作るのは難しいと考えられます。このW.L.O.、テーマはずばり恋愛ですので、難しいところにチャレンジしてきたなぁという印象を持ちました。

しかしさすがあかべぇそふとというべきか、シナリオライター安堂こたつはきちんとまとめてきましたね。恋愛というのは基本的には他者とするものですから、相手の心情や考え方が分からないという前提で相手のことをわかろうとする心の動きが描かれるべきものです。最初から分かり合えている二人を描いてしまうと、テーマとしては恋愛から少し外れてしまい、それは自己愛なんではないかという批判を浴びることもあります。このW.L.O.で何度も繰り返し描かれるのは自分の劣等感を相手に押し付けてする失敗です。恋愛弱者がよくしてしまう、”僕なんかどうせこう思われているに違いない”といった自分が臆病にになるのに都合のよい解釈は相手がほんとうはどう思っているのかを無視した独りよがりであることを主人公は何度も説かれます。ここはオタクの恋愛感と非常にマッチするところで身につまされる思いで経過を見守りました。

さて、ゲームとしての工夫点に話を移しますが、このゲームは”雑然とした雰囲気”や”ごった煮感”を大事にしているそうでして、複数の人物が同時にしゃべる演出が効果的に使われていました。確かに意図どおりの効果があったと思われます。

また、このゲームで好感を持つのは詳細な設定です。クラスメイト全員に名前と簡単な設定があり、立ち絵のないようなキャラクターまで印象に残るような台詞とエピソードが用意されています。こうした脇役たちが良い味をだしていました。恋愛をテーマにした場合、最終的には主人公とヒロインの二人の関係がクローズアップされていくわけですが、周りとの関係を断ち切るようなクローズアップのされ方ではなく、周りに暖かく見守られるような恋愛が描かれていましたね。

ところで、そんな細かい作りこみのせいなのか、このゲーム長いです。ほんともうひたすら長い。そもそもノベルゲームでDVD2枚つかってテキスト量が6.5Mってむちゃくちゃですね。参考までにいうとFateが4.3MB。CLANNADが3.9MBだそうです。このゲーム、どんだけ大作なのかwwたぶんクリアまでに半年はかかってないですが、3ヶ月くらいはかかりましたね。

まとめますと、W.L.O.は学園ラブコメという正統派のなかの正統派ど真ん中ストレートを壮大な規模で描いた大作です。かなり手の込んだつくりになっていますので堪能していただければと思います。