塩の街―wish on my precious 有川浩 昭次

塩の街―wish on my precious (電撃文庫)

塩の街―wish on my precious (電撃文庫)

図書館戦争なんかで人気を博す有川浩の作品で本屋で見かけたので衝動買いしました。

そしたらなんかセカイ系でしたw。

セカイ系もいろんな意味があるので、いちいち解説しないと話が通じないのですが、ここではお話の中であまり説明されないような理不尽な世界の危機が起こり、それに巻き込まれた男女が外界を拒み二人だけの濃い関係を作り出すようなお話のことをセカイ系と言っています。

こういうのは物語のセッティングとしてすごく効果的だし特に嫌いではないんですが、いささか古い感じがしちゃいましたね。流行(はやり)ものは怖いなぁ。

とはいえ、この塩の街は単なるセカイ系では終わりません。あとがきで気がつきましたが、作者はこのお話のセカイ系さに自覚的なんですね。その上で一つの結論を出しています。世界とワタシどっちが大事なのって問いたまにありますよね。論理的に考えれば世界を救わないとどうせワタシも死んじゃうのだから世界を救うしかないのですが、感情的に考えるなら世界を救う努力をする時間も惜しんでワタシと一緒にいたほうが幸せなわけです。この問いに対する作者の回答は中々のものだと思いました。まぁ僕はこのあたりもうちょっと割り切れなくて、優先順位には迷います。あんまり良く知らないのですが、有川浩は軍隊ものが好きだと効いたような。正義がうまく定義できないような舞台設定ではこの結論はどうなるのか、ちょっと知りたいと思いました。

あとは些細なお話。絵はちょっと気に入らないですね…。女の子はもうちょっとかわいく描けてもいいような。男もちょっと女々しすぎる。絵師がギャルゲ製作会社出身なことが影響してるのかな。ギャルゲーで出てくる男は攻略可能なショタか、主人公もおとなしいタイプが多い(時代があった)ので。