夏への扉 ロバート・A・ハインライン, 福島正実

夏への扉 (ハヤカワ文庫 SF (345))

夏への扉 (ハヤカワ文庫 SF (345))

大変おもしろうございました。

超有名作品なのでかなり期待しながら読み始めましたが、その期待に十分応える作品でしたよ。読み終わった瞬間に同著者の月は無慈悲な夜の女王を買ったぐらいです。

僕は理系なせいか、荒唐無稽なサイエンスの設定を読者を煙にまくような仰々しい記述でみせるのは嘘臭くて好きではないんですが、本作ではそのあたりは控えめに、その技術が社会に密接に結びついてその有様を変容させてくれているを見せてくれるのでお話として納得させられてしまいます。

登場人物も魅力的です。主人公の性格が技術者気質で親しみやすいほか、猫がいい味を出しています。

お話にいつも分からない部分があり、その謎を追い求めてどんどんページをめくってしまいました。一つの謎が分かると次の謎がでてきて、読者を休ませません。

本書はSFの入門書として、誰にでもオススメできる名著なのではないでしょうか。