ゲームブックのゲームマスターはプレイヤー自身

タイトルが結論ですww。

下で長靴をはいたデコの紹介をしていますが、なんと本作品はデジタライズドゲームブックという形式をとっています。どういうことかといいますと、各チャプターに番号が振ってありまして、あるチャプターを読み終えたら”どこどこのチャプターに飛ぶ”という形で読み進めていくのです。

ノベルゲームですが戦闘もあります。ルールは簡単ですけど、ダイスを振って命中判定してダメージを決めるんですね。必殺技の資源管理なども多少ありますね。

とはいえ、そこは重要なところではありません。一番大事なところは、ダイスは振りますがダイスの結果を適用するかどうかはプレイヤーに一任してあるところです。またルールどおりHPを減らすのか、そういったことも全てプレイヤーに一任してあります。

厳しいルールで遊ぶのも甘いルールで遊ぶにも全てはプレイヤー次第なんですね。

そういえば、昔ながらのゲームブックで遊ぶとき、ルール解釈及びルール運用はプレイヤーに任されていることに気づきます。アナログのゲームブックの場合にはそれをプレイヤーがやるしかないから、しょうがなくやるわけですが、デジタルの場合はそういう処理を全てコンピューターにまかせることができるはずです。実際ほとんどのゲームではそうしています。このデジタライズドゲームブックはコンピューターにやらせることができることをわざわざ人間がやっているのです。だからこそ、コンセプトが際立ちます。

人間がやることの利点は自分の腕にあわせて加減することが出来ることでしょう。ノベルゲームだからどんどんお話を先に進めたいというなら、戦闘を無視してもよいわけです。敵の出目があまりにひどい(クリティカルを連発など)場合などはダイス目をごまかすのもありです。そしてもちろんストリクトにルールを守って遊んでもいいです。その運用はすべてプレイヤー自身がやるわけですね。

TRPGではよくTRPGに関わる人間を3種類に分別します。システムデザイナー、ゲームマスター、そしてプレイヤーです。このモデルをゲームブックにもむりやり当てはめるとシステムデザイナーが本でゲームマスター及びプレイヤーが遊び手に対応するでしょう。

この3分類の場合シナリオ作成がゲームマスターに属するとするのが普通でしょうが、ゲームブックではシナリオ担当は遊び手ではありません。ゲームブックを解析する場合、この3分類では少々無理がありそうです。どうするばよいのでしょう。

ここでは4分類にするモデルが提案されています。つまりシステムデザイナー、シナリオライターゲームマスター、プレイヤーとこういう分類です。この分類に沿ってゲームブックを解析すると、システムデザインとシナリオが本に対応してゲームマスターとプレイヤーが遊び手にすっきり対応させることができます。

自明なことをだらだら書いたような気もしますが、TRPGの遊び方の原点としてゲームブックを挙げる方もいるでしょう。そのときゲームブックというのはシステムデザイナー/ゲームマスター/プレイヤーという3者のモデルではうまく解説できず、それにシナリオライターを加えた4者で、ゲームマスターとプレイヤー部分をゲームブックの遊び手が担うと考えたほうがすっきりするというのが結論となります。