世界樹の迷宮II 妄想日記1

以下の妄想には世界樹の迷宮IIの始まりから迷宮に入るまでのネタバレが含まれている可能性があります。物語調なのでネタバレ度は低いと思われますが、お気をつけください。



大陸のはるか北方に広がる高地、ハイ・ラガード公国に今二人の若者がたどり着いた。
「いやーエトリアからの旅もわりとあっちゅう間だったね。この方向感覚の良さには我ながら驚くね。」

ベレー帽を被り、地図を片手に持った青年の言葉に、救急道具をつめた箱を持つ少女が答える。
「何を言っているんです。何度も迷ったくせに。野犬の群に襲われた時には死を覚悟したんですよ。」

「あれはきっとリースが菓子パン食べながら歩いてたせいだよ。俺はちゃんと野犬地帯を避けたのに…。」

「もう、いつも自分のミスを認めないんだから。初代が聞いたら真っ赤になって怒りますよ。」

「『マッパーの仕事を甘くみるな』だろ。分かってるよ。『モンスターの動きの二手先を読め』とか、んなこと百も承知だよ。でも物事には例外もあるし、これからのマッパーはもっと柔軟に対処しなきゃならないと思うんだよな。」

「勝手なことを…」

二人が会話しているうちに、冒険者登録所が見えてきました。

「あっ冒険者登録所だってこのあたりはエトリアと同じだなぁ。冒険はとにもかくにも仲間集めからだ。入ってみようぜ」

冒険者登録所には様々な外見の冒険者達が軒を連ねている。そしてお互いの実力を読みあうようなピリピリとした静寂に包まれていた。

その静寂を崩す一声があがる。
「俺はエトリアのシュヴァリエのギルドマスターだ。俺と一緒に迷宮にもぐる奴には栄光が約束されるぞ。空飛ぶ城が見たい奴は集まりな!」
「ええ〜そっそんな強気な…。すっすみません。みなさんこの人虚言癖があって…」
「今のどこが嘘だっていうんだ!ほんとのことだろ。嘘だと思う奴は見にこい。こいつの胸についてる勲章を。エトリアの勲章だ。」
少年はリースを前に押し出す。
「ちょっと 恥ずかしいよ やめようよ。」
リースは後ろを向いて自分の胸についている勲章を隠してしまう。

一瞬の沈黙のあと、近くにいるガンナーの女が話しかけてきた。
「ねぇ、今の話本当なの?」

「もちろんほんとうだとも。なっリース?」
相手の背丈が自分より小さいことに安心したのか、人見知りしがちな少女も遠慮ぎみに言葉を返す。
「はい。あの一応本当です。」
「50階にも及ぶ地下迷宮を隅々まで探索し、竜をも倒したという噂も?」
「ああ、もちろん本当だ。」
「ほんとに?」
ガンナーは念のためリースにも尋ねた。
「あのっ私は新参者でそのときの話はよく知らないんです。でも、この勲章は本物で初代マスターが旅の安全のためにって私にくれたんですよ。」
「初代マスター?ってことは…あなた二代目なの?どうりで若いと思った。」

「二代目、二代目言うなよ。俺はちゃんと初代の出す難問に答えてギルドマスターになったんだぜ。じじぃと違って若さもある。」

「じゃあ、あんたにかけてみようかな。」

「いやぁ、いい目をしてるよ。一緒に空飛ぶ城へ…って、あれ?」

女ガンナーがなぜかリースの手を握っている。

「えっ私ですか?」

リースも驚いているようだ。

「うん、実はあたし達のギルドは女ばっかりでね。女のメディックを捜してたんだ。あんたはシュヴァリエギルドのメンバーだっていうんだろ。こっちからお願いしたいくらい。」

「えっとぉ マッパーでこの人も入れてあげてもらえますか?」

「あんたが来てくれるなら、それぐらい我慢するよ。」

「ちょっ おねえさん。我慢ってそんな…。俺がギルドマスターよ。マッパー大切よ?」

「悪いね。男は信用できない性質でさ。まぁマッパーぐらいは任せてもいいけど。」

「うぅ…。いきなりくじけそうだ。まぁいいさ、俺のマップ捌きでギルドメンバー全員をメロメロにしちゃる。覚えてやがれ!」

「あたしはリィンよろしくね。」

「どーも。リースです。」

「あふん… この人たち聞いてないし…。」

二代目の冒険は女ばっかりのギルドで立場の低いマッパーとなることから始まった。
彼は立場を改善させることができるのか?それはまた次回のおたしみということで。