チョコレートコスモス 恩田陸

チョコレートコスモス

チョコレートコスモス

恩田陸の作品は六番目の小夜子*1に続いて2作目です。

この本との出会いは、ダヴィンチかな。文学賞ぶったぎりの豊崎由美が、「この本を読むとガラスの仮面がなぜおもしろくないのか分かる」と豪語していたのを見て興味をひかれました。

僕はガラスの仮面が好きで、続編が出ないこと以外には不満はありませんでした。おもしろい漫画ですよね。あれのどこが問題なのかと疑問に思った次第です。

さて、ガラスの仮面が引き合いに出されましたが、本作は舞台劇を取り扱っていて、少女たちが有名映画監督の舞台にたつためにオーディションに出るという内容です。まさに紅天女。この少女たちの役に対する考え方、演技の工夫などが非常に面白く、読み出したらとまらない一冊です。

TRPG者はPLとPCの関係、役者と役の関係に敏感だと思いますが、そういった観点からも非常に面白いですね。ガラスの仮面の北嶋マヤって、すぐに役に入ってしまいますよね。あれってどういうことだと思いますか?TRPG者はけっこう簡単に気づくと思いますが、あれは役の視点を捉えるのが抜群にうまいってことですよね。そして実は少々役者の視点に欠けているのです。

僕もこのように演技のおもしろさに、興味を持っており、非常に楽しく読むことができました*2。唯一心残りなのは、本書では演題に実際の作品をつかって、その原作を読んだことがあればもっとおもしろく読めただろうと予想されることです。そこだけは少々残念です。