ばいばい、アース 1 理由の少女 冲方丁, キム・ヒョンテ

ばいばい、アース 1 理由の少女 (角川文庫 う 20-1)

ばいばい、アース 1 理由の少女 (角川文庫 う 20-1)

某Sさんのオススメのばいばいアース。一巻読み終わりました。文庫になったのは最近ですが、本作は発表時期は2000年です。独特のネーミングセンスなどからちょっと昔のこなれてない冲方丁らしさが感じられて非常に楽しめました。

さまざまな獣人の住む世界にいるたった一人の人間、”のっぺらぼう”のベルの活躍が描かれています。
基本的にファンタジーで魔法なども存在するのですが、SFっぽさも感じさせますね。要するにベルっていうのは獣人の星に、宇宙から落とされた人間なんだということを予期させます。まぁタイトルもばいばいアースですからね。

ところで、僕はバトルのシーンがうまい小説家と言われれば、灼眼のシャナ高橋弥七郎を思い出します。しかし、このばいばいアースのバトルのシーンが非常に良くできていて、高橋弥七郎も霞んでしまいましたね。そもそも小説でバトルを書くこと自体はなかなかチャレンジングな課題です。アニメや漫画のほうが表現しやすいですからね。だから小説ではバトルといってもバトルにおける心理描写が中心となるのが普通だと思います。
しかし、この集団戦闘が非常に熱くておもしろい。そして美しい。魅了されてしまいますね。

この小説、全然挿絵がないのですが、特徴のある獣人がたくさんでてくるせいか、なんとなくビジュアルが浮かびますね。しかもキム・ヒョンテの絵柄でですw。このあたりも特徴がでてくるよう、うまく書かれているのだと思います。

最初に書きましたが、ネーミングが面白いものの少々ぎこちなさも感じます。冲方丁に慣れているとそれも楽しめるのですが、初めてこれを読むと”笑えんギャグ”に写るかもしれません。そのあたりが心配ですが、設定もおもしろいしバトルも心を熱くします。良い小説だと思いますよ。