Fate/zero Vol. 4 -煉獄の炎- 虚淵玄


著者 虚淵玄ニトロプラス) 

発行者竹内友崇 

発行所TYPE−MOON 

イラスト武内崇 作画・彩色 こやまひろかず・蒼月誉男・MORIYA・simo

http://www.fate-zero.com/vol4.html:公式サイト。画像はここから転載。アマゾンで取り扱ってないのでこういう紹介法をしてしまいます。すみません。


年末にとらのあなで手に入れました。多分みなさん感じていたかと思いますが読むのがもったいないと感じた貴重な一冊です。”Fate/zeroの熱い物語がこれを読んだら終わってしまう”この思いからなかなか1ページ目を開くことができませんでしたが、開いたあとはいつもの通りあっというまに読み終わりました。450ページもあってわりと分厚いんですけどね。

どのシーンも熱くてすばらしいのですが、一番好きなのはセイバーとバーサーカーの戦いです。バーサーカーの正体はただの勘で半ば予想どおりだったのですが、狂気にいたった理由までははっきりと予想できてはいなかったので、この設定に燃えるものがありました。

少々残念なところは既刊を読み直さずに読み始めたせいか、言峰綺礼の思考が途中で追えなくなってしまったことです。あとで読み直すと、以下のような流れでした。

目的や理想のない悩み→衛宮切嗣の破壊を繰り返す無軌道な日々に自分を重ね合わせる→切嗣の聖杯への願いが知りたい。同時に聖杯が自分の目的や理想を明らかにしてくれるという期待→切嗣の理想を知り、落胆→戦闘→聖杯の解答:悪徳の喜び

聖杯の解答を見たあと、言峰綺礼が典型的な悪人になってしまっていることがちょっと残念かなぁと思います。解答だけ聞いて納得しないところは彼らしいっちゃらしいんだけど…。

Fate/staynightにおける最悪の布陣を作る原因となる事件なので、やはり終わりはあまり救いのないものなのですが、切嗣の絶望はエミヤの絶望そのものなのでUnlimited Brade worksの時の思いがよみがえるし、セイバーの絶望を知ることでFateのあのハッピーエンドの意味もまた深くなります。桜がやっぱりかわいそうでHevens feelが思い出される…。
Fate/staynightをやり直したくなるけど、あれ長いからなぁ(あとは売ってしまった疑いもあるw)。

ネタバレを避けると何も言えないし、ネタバレしてもおもしろかったとしか言えないなかなか難しい書評を強いられています。おもしろかったという以上に、このお祭り騒ぎが終わってしまう寂しさのほうが強いです。不思議な読後感を味わっています。