TRPGの良い論考・悪い論考 その評価基準と紹介法

TRPG論考がどうあるべきか、活発な議論がなされています。

論点は”実用的である”ことを論考の目標や価値にすべきかどうかというところでしょうか。
論点をもう少し詳しく説明しますと、あるTRPG論考を非難する理由として、”非実用的”、”当たり前”、”非現実的”であるということを挙げるのは適切かどうかということですね。

僕もよくTRPGのことを記事にしていますので、あんまり人事ではない問題ですね。

書き手の動機

まず、書き手として論考の目的がなんなのか個人的な意見を述べます。

僕がTRPGの記事を書く動機は、最近は惰性ですけど(こら!)、最初は実プレイの参考になる論考を読むのが楽しく、僕もそういうものを提供したいと思ったからだと記憶しています。よって、”実用的で”、”当たり前ではなく”、”現実的”な論考が、僕にとってはいい論考だと思いますね。

読み手の受け取り方の工夫

でも、もう少し寛大な目で見ますと、自分にとって当たり前なことが人にとっては全く当たり前でないことがよくありますので*1、万人にとって当たり前の記事かどうかはわかりません。
”当たり前”だと感じた方は、単にその論考の筆者と考え方が似てただけの話でしょう。
また、”非現実的”な論考がいつまでも非現実的かどうか分かりません。馬鹿みたいな発想からいいアイデアが生まれることもあります。

また、あまり実用的に見えない、TRPGの枠組みについて抽象的に語ることは、それなりに実用的なのではないかと。例えば”システムのゲーム性をうまく紹介できること”は、ゲーマーとしてはわりと必要な技術じゃないかと思うんですよね*2

だってみんな集まってすぐゲームするわけではないでしょう。最初の雑談で、「最近どんなので遊んでる?」「あれが面白かった〜あのシステムの肝は○○だよね〜」とかっていうのは、普通ですよね。

こう考えると非実用的なことってあんまりないのでは。読んだ側があんまり無駄にならないような実用方法を考えればってことですが。

需要と供給のバランス

読む側の意識によっては、”役立たず”な論考というのはそうないのではっていうことを述べました。

しかし、一方感じるのは、いい記事にたくさんの注目が集まっていないってことです。

良い記事がたくさんの人に読まれるのがいい状況だと思うんですよね。はてなで言うとはてなブックマークをする人間の数が限られていますので、はてなブックマークの数と内容の良さには、あんまり関係ないような…。

むしろ、今足りないのは、いい論考をどこが良いのか分かりやすく簡単に紹介するような記事なのかもしれません。

”よい論考を紹介”を実践

というわけで、良い記事を”これは良いよ〜”って紹介する記事を書いてみます。

http://www.scoopsrpg.com/contents/orshi/orshi_20071031b.html*3

PCが解決する課題(WHAT)、どう解決するのか方法(HOW)、どうして解決するのか(WHY)この三つがGMとPLのどちらに属すのかを用いて、D&D型、SW型、FEAR型、Aの魔法陣型などの分類を行っています。
この分類を行うことで、各システムで大切にしなくてはいけない部分を再認識できるはず。

Hikawa TRPG Laboratory - 氷川 TRPG 研究室

TRPGにおける意思決定の概念とその重要性をすごく分かりやすく解説しています。昔、”いいシナリオ=大事な意思決定があるシナリオ”といわれていたような…。それほど大事な概念で、基本中の基本中ながら、けっこうすっぽりぬけるところなので、ちゃんと身につける必要があります。

http://nozomism.hp.infoseek.co.jp/Arianrhod/Talk_about_Rules.html

アリアンロッドの楽しさを紹介したもの。ルールの条項からうまい遊び方を抽出する例として読むとよいです。ルールの深い意味について考えることの重要性に気づかせてくれます。

ロールプレイについての考察

馬場理論を読んでキャラプレイに悩みだしたあなたへ。PCになったつもりで物を考えることと意思決定の関係についての素晴らしい結論が読めます。

雑感

こうやって良い論考を挙げようと思ってあがるものは、そんなに新しくない記事が多いですね…。新しいTRPG論者はもっとがんばろうってことが結論でしょうかw。

*1:一般性――TRPGのメディア環境から要請されるコミュニケーションは、個人性に配慮するため一般論に還元しにくい http://www.scoopsrpg.com/contents/orshi/orshi_20071031a.html

*2:God & Golem, Inc.

*3:個人的にはSWのどのルールの条項がシティアドベンチャーを生み出したのかが気になる。なんとなく答えはルルブではなくノベルやリプレイなどのサプリメントのような気がするけど。