D&Dリプレイ 若獅子の戦賦 柳田真坂樹, 井上純弌

D&Dリプレイ 若獅子の戦賦 (HJ文庫G)

D&Dリプレイ 若獅子の戦賦 (HJ文庫G)

素人の感想

少しおそくなりましたが、話題のD&Dリプレイ、若獅子の戦賦のレビューをしようかと。
僕はSWからTRPGに入ってましてそれ以前のシステムに関してはまったく素人です。D&D自体遊んだことはありません。昔D&Dを遊んでいた方のレビューはたくさんかかれましたが*1、まったくの素人の意見はまだめずらしいのではないかと思います。

黒騎士が多すぎる…じゃなかったのか

僕はこのリプレイについてちょっと誤解していました。田中天さんのブログなどで、”黒騎士が多すぎる”というリプレイが”キャラの!”*2という雑誌に載っていたのを知っていたので、このリプレイだと思っていました。
実際にはその黒騎士が多すぎるの続きが本リプレイです。ただ、黒騎士が多すぎるの分のあらすじは本文を読めばわかるので、別に読みにくさは特にありませんでした。まぁ普通に遊んでいても、何回か一緒に冒険をこなした仲間同士としてPCを作ってくださいってことがありますよね。その程度のことです。

D&Dのルールの魅力

みなさん、このリプレイを”今風”と表現していますが、何も知らない僕としては何点か”D&Dらしい”を見つけられまして、雰囲気はともかくD&Dのルールの魅力を発見できました。

判定

知識としては知っていたD20システムです*3。行為判定に20面体のダイスを用います。僕の乏しい数学的知識によりますと、実はダイスをたくさん振り足すシステムほど、出る目は期待値周辺に安定するんですよね。これはダイスをひとつしか振らないわけでかなり振れ幅が大きい判定系といえるでしょう。わりと”何でも起こりうる”世界なわけですね。とはいえ…クリティカルして自動的成功…みたいな概念はないのかな(誤解かも)。こういうクリティカルがあるほど無茶が効くシステムだと思いますが、そこは抑えてあるのかも。

出目20

出目20っていう判定法はおもしろいですね。これは20回判定したのと同じ時間をかけて最高の結果をもってくるわけです。これはスマートなやり方ですね。

ダイスいろいろ

判定は20面体ダイスですが、ダメージとかは6面体とか8面体とかのダイスを用いるんですね。ダイスを買うのがめんどいっちゃめんどいですけど、武器ごとに固定なので色の違うダイスなどをそろえれば逆にわかりやすいかもしれませんね。

モンスターの知覚

モンスターの知覚方法が多彩でおもしろいです。目だけではなく振動を感知したり…。そしてただその知覚方法が記述されているだけでなく、ゲーム上の処理の仕方もはっきりしているように見えました。知覚に関するルールっていうのは、PLやGMが知っていることをPCやNPCが知らないふりをしなければいけないってことで、難易度が高く揉めやすいところです。きめ細かいルールがあるのはいいですね。

死にやすく、生き返りやすいw

あんまり詳しく言うとネタばれなっちゃうのでいいませんが、規定のダメージを食らえばあっさり死ぬルールなので死に安いですね〜。その代わり生き返りやすくなっているようですけど。まぁレベルが下がるので、あるいみお金より大事なものがなくなりますが…。おもしろいのは石化など、リザレクションが効かない魔法を使われると生き返らせるための敷居があがるところで、いろんな死に方があるってことですね。

ストーリーやイラストなど

井上純弌氏のごっついおにーさんやけしからんおねーさんの絵はいいですね。挿絵も多くストーリーを盛り上げます。いっぽうストーリですが、けっこう陰謀劇なところがあり、僕は結構クラシックな印象を持ちました。まぁストーリーは細かく話し出すとネタバレになってしまうのでこのへんにしておきましょう。井上さん(田中天さんと間違えてたぜw)のガンボルトの台詞が妙にかっこよかったことを付け加えておきます。

まとめ

ずいぶん現代的な遊びかたがされているとはいえ、まだまだクラシックなものの良さを感じられるリプレイでした。僕は別にそういうシステムで遊んだことがあるわけではなく、僕にとっては新しい遊び方なわけです。ノスタルジーを感じているわけではなく、その遊び方の合理性…みたいなものの惹かれました。
正直D&Dを遊ぶ機会はあまりなさそうなのですが、ルルブの値段や翻訳状況によっては遊ぶ気が起きるかもしれません。その一歩…というか半歩を踏み出せる一冊でした。