DDD 2 奈須きのこ こやまひろかず

DDD 2 (講談社BOX)

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奈須きのこの新しい挑戦に感動!

とりあえず前巻の感想はこちら→感想

奈須きのこのバックグラウンドは本人いわくミステリと伝奇にあり、ギャルゲ的な要素は月姫を形にするときに、まとめて勉強したらしい。ミステリや伝奇で”感動”って要素はそう重視されないと思うし、この人の作品はすごくおもしろいんだけど、泣ける作品とかそういう評価ではなかったはずだ。しかし…今回感動してしまった。

今回の感動ポイントは二人の少年をとりまく不合理な運命にあって、不覚にも泣けたのだけども、なんかこういううまさって奈須きのこになかったんじゃないかなぁと思う。こういううまさはじつはFate/Zero虚淵玄的なような気がする。この奈須きのこの新側面はFate/Zeroのコラボレーションが生み出した思わぬ副産物なのではないか*1

もうすこし言うと、今回の話って中二病的な”人と人との分かりあえなさ”の中に、”すれちがいながらもお互いを認め合った二人”を描いたところが、すごく感動的だった思う。

そしてもちろん、奈須きのこの”らしさ”も健在で、伏線の管理と物語の仕掛け、登場人物の従う徹底的なルール、迫力ある異能者たちの戦いなど、”うん、これが奈須きのこだよな〜さすがっ!”って思わせる。

最後はDDD3の予告編的な章で終わるんだけど、これは卑怯。すごいおもしろそうじゃないか!奈須きのこはスタイルの完成した作家だと思ってたけど、新しい側面をみせてきて、今後の作品に期待を感じさせる革新の一冊でした。