2007年上半期ライトノベルサイト杯 投票!
さて、先日、このラノベ杯への期待を述べましたが、今回は僕も参加してみようかと。
とりあえず一番下に、僕が読んだラノベっぽいものの書評リスト(今年発売)を作りました。読了のものは、25冊ですね。僕はあんまり今年発売とかそういうことにこだわらないので、あんまり多くはないですね。
いちおうこのラノベ杯は単発とシリーズもので5冊づつ計10冊投票できるのですが、25冊中10冊を投票ってのも多かろうと思いまして*13冊づつの投票にしてみます。そのほうがありがたみもあるでしょう。
シリーズもの
悪魔のミカタ666スコルピオン・オープニング | うえお久光 | 【07上期ラノベ投票/複数/9784840237215】 | |
オイレンシュピーゲル 2 | 冲方丁 | 【07上期ラノベ投票/複数/9784044729028】 | |
ダブルクロス・リプレイ・トワイライト2熱き夕陽の快男児 | 田中天 | 【07上期ラノベ投票/複数/9784829144916】 |
シリーズものはあっさり決まりました。
悪魔のミカタ666スコルピオン・オープニング →感想
うえお久光は、登場人物の思考過程が多面的で、彼らがキャラクターではない上、エンターテイメントとしても高レベルです。長いシリーズなのが弱点で手にとってもらえないかもしれないのですが、無駄に長いわけではなく、どの話も必要です。ダークヒーローものなので、正義が勝つという話と違って結末が読めない部分もあり、非常にエキサイティングです。
オイレンシュピーゲル →感想
冲方丁はすでにラノベの新人賞の審査員なども務めています。若くしてすでに巨匠ですね。ライトノベルに民族・国家・宗教を持ち込んだオイレンシュピーゲルは非常に目新しいと思います。ユーモアのセンスが少し暗いですが、腐った街で腐らずいきる主人公達に励まされる一作です。
ダブルクロス・リプレイ・トワイライト2熱き夕陽の快男児 →感想
最後はTRPGリプレイから選んでみました。今回はライトノベル杯ですが、TRPGリプレイの読み物としてのレベルも上がっています。読者の傾向から考えて、ラノベが楽しめる人はきっとリプレイも楽しめると思います。そういう意図で一作入れてみることにしました。リプレイの中で何を選ぼうかは迷いましたが、クレオパトラ・ダンディのキャラクター性が受け入れられるのでないかと思い、ダブルクロスのトワイライトを推しました。TRPGと言えばソードワールドだと思っている引退したあなたにオススメです。
選考にもれた作品たち
狼と香辛料4、灼眼のシャナ 14、涼宮ハルヒの分裂などは、スルーしてますね…。
これらは大作の中の途中経過という感じがしているだけで、おもしろくないわけではないのですが…。
狼と香辛料はファンタジーに経済を持ち込んでいる新規性はまだまだ健在で楽しめています。しかし、毎回でてくるのはホロとロレンスの二人であるところに少々閉鎖的な印象をうけます。旅のお供が必要な時期では?
灼眼のシャナはラストスパートのための準備が整った…といったところ。まだ走りだしていません。
涼宮ハルヒの分裂は上下卷ででるはずの上巻なので、まだ評価できません。ハルヒシリーズの中でもなかなかおもしろそうな話が展開されているので、涼宮ハルヒの驚愕が発売されていたなら、評価も変わったに違いありません。
単発もの
DDD | 奈須きのこ | 【07上期ラノベ投票/単発/9784062836098】 | |
ハルカ 天空の邪馬台国 | 桝田省治 | 【07上期ラノベ投票/単発/9784757734128】 | |
沙漠の国の物語―楽園の種子 | 片桐郁美 | 【07上期ラノベ投票/単発/9784094520118】 |
次点
ミミズクと夜の王 | 紅玉いづき |
人類は衰退しました | 田中ロミオ |
単発ものはなかなか迷いました。
DDD →感想
まずDDDですが、やはり設定のうまさが光る作品だと思います。読み物としての深さという意味では少しものたりないものもあるかもしれませんが、この世界観には中毒性がありますね。一言で言って奈須きのこらしい作品で、それ以上なにもいいようがないのですが、やはりおもしろさは頭ひとつぬけているだろうと思い選びました。
奈須きのこの関係でちょっと述べておきたいことがあります。このラノベ杯はISBNがないと投票できないのでFATE/ZEROが投票できないのが残念ですね。FATE/ZEROこそみなさんにオススメしたい本なのですが。
ハルカ →感想
最近”エロさ”ってのもラノベの重要な要素なんじゃないかと思い始めました。他の人の書評を読んでいても”エロくていい”って意見は多く見られます。まぁ褒めやすい部分だから目につくだけかもしれませんけどね。ラノベは娯楽なわけですから、エロさっていうのはもちろん立派な評価要素だと思います。桝田省治はゲーム業界の人間ですが、いろんな意味で倫理規定にひっかかる作品をつくってきました。彼の書くものは”生(なま)”です。パンチラまでが許されるような少年漫画的な倫理規定から外れたところを望むあなたにオススメですね。
沙漠の国の物語 →感想 ミミズクと夜の王 →感想
沙漠の国の物語は”力強いファンタジーが読みたい”という、今の僕の問題意識とよく合致した作品です。それゆえ、一般的な評価より高く評価しすぎているのかもしれません。ファンタジーの名作という意味ではミミズクと夜の王とどっちを選ぶかかなり迷いました。ミミズクと夜の王はオープニングがすごく好きで、物語の展開にも著者の意図が行き届いている確信的な作品です。ただ、オープニングであがったテンションがエンディングまで持続しないという弱点があると個人的には思っています。一方、沙漠の国の物語はオープニングがすこしもたつきますが、そこを抜けてしまえば盛り上がるばかりです。読後感が爽快で、読むことで元気になれる一冊だと思います。まぁミミズクと夜の王はみんな褒めるから僕が褒めなくてもいいかなぁって思いもあり、とりあえず沙漠の国の物語に一票です。
人類は衰退しました →感想
田中ロミオの人類は衰退しましたは非常に好きなノリなのですが、すこし物語が平坦かもしれませんね。田中ロミオファンにはもちろん薦めるのですが、人に薦めるラノベを選べといわれて、これを挙げるのは、個人的に何か違うものを感じます。非常に優れた娯楽なんですが、毒にも薬にもならない、読まなくてもいい一冊…と言ったらいいのでしょうか。大好きな作品なんですが、今回は票をいれないことにしました。
今年に発売された”ライトノベル”っぽいもの既読
- DDD 奈須きのこ - ブレーキをかけながらアクセルを踏み込む
- オイレンシュピーゲル(1) スプライトシュピーゲル(1)冲方丁 - ブレーキをかけながらアクセルを踏み込む2冊
- カオスフレアのルルブとかリプレイとか - ブレーキをかけながらアクセルを踏み込む
- 悪魔のミカタ666スコルピオン・オープニング うえお久光 - ブレーキをかけながらアクセルを踏み込む
- 狼と香辛料 3と4 支倉凍砂 - ブレーキをかけながらアクセルを踏み込む
- ダブルクロス・リプレイ・トワイライト2熱き夕陽の快男児 田中天, F.E.A.R - ブレーキをかけながらアクセルを踏み込む
- 灼眼のシャナ 14 (14) 高橋弥七郎 - ブレーキをかけながらアクセルを踏み込む
- 覚悟の扉―ダブルクロス・リプレイ・アライブ 矢野俊策, F.E.A.R. - ブレーキをかけながらアクセルを踏み込む
- 想望のメモリアル 久保田悠羅, F.E.A.R - ブレーキをかけながらアクセルを踏み込む
- 涼宮ハルヒの分裂 谷川流 いとうのいぢ - ブレーキをかけながらアクセルを踏み込む
- ミミズクと夜の王 紅玉いづき - ブレーキをかけながらアクセルを踏み込む
- 鬼切り夜鳥子 桝田省治 佐嶋真実 - ブレーキをかけながらアクセルを踏み込む
- アヒルと鴨のコインロッカー 伊坂幸太郎 - ブレーキをかけながらアクセルを踏み込む
- GOSICKs 3 桜庭一樹 - ブレーキをかけながらアクセルを踏み込む
- 黒鏡の獄の煌少女―Replay:ゲヘナ~アナスタシス - ブレーキをかけながらアクセルを踏み込む
- ハルカ 天空の邪馬台国 桝田省治 - ブレーキをかけながらアクセルを踏み込む
- 迷宮キングダム・リプレイ(1) 黙示録の乙女 - ブレーキをかけながらアクセルを踏み込む
- 神の贈り物―アルシャードガイアリプレイ 稲葉義明, F.E.A.R - ブレーキをかけながらアクセルを踏み込む
- 迷宮キングダム・リプレイ(2) 災厄の王子 - ブレーキをかけながらアクセルを踏み込む
- 人類は衰退しました 田中ロミオ, 山崎透 - ブレーキをかけながらアクセルを踏み込む
- オイレンシュピーゲル 2 冲方丁 - ブレーキをかけながらアクセルを踏み込む
- 武林クロスロード 深見真 - ブレーキをかけながらアクセルを踏み込む
- 沙漠の国の物語―楽園の種子 倉吹ともえ 片桐郁美 - ブレーキをかけながらアクセルを踏み込む
- 悪魔のミカタ666 2 スコルピオン・テイル うえお久光 - ブレーキをかけながらアクセルを踏み込む
*1:集計人は読書量が少ないという心配はしないよう書いてますが