ゲドを読む。 糸井重里他

えっとこれは僕がゲドを読んだ話ではなく、”ゲドを読む”ってフリーペーパーの話です。ゲド戦記のDVD発売記念の販促グッズですね。
6月6日に配布されて、あっというまになくなってしまったそうで、もう手に入らないと思っていたのですが、偶然手に入りました。

以下で内容を紹介します。

中沢新一が人類学的な立場からゲドを解説

ル=グウィンの家庭環境や社会背景を考慮して、ゲド戦記を白人社会への批判や、あるフェミニズムの方向性への懐疑として読み取っていきます。非常に深い内容ですね。

ゲド戦記の名言集

読んだことがある人には、そうそうあれは名言だよねってついうなづいてしまう名言が並んでいます。まぁこの企画自体はたいしたことない感じですけどね…。名言がかなり深いのでガンダムの名言ほど使用用途は広くないように感じますw。

「ただ、わしらだけは幸いなことに、自分たちがいつか必ず死ぬということを知っておる。これは人間が天から授かったすばらしい贈り物だ。」

果たして、僕がこの言葉を理解できているのかどうか疑問ですが、名言なことは間違いない。メメントモリってやつですね。こういうのが頭じゃなくて体感で分かるようになると僕の人生も違ってきそうです。

ゲドだけじゃなくて、村に生きる人の言葉がすばらしいのがゲドの特徴かと思いますが、いざ挙げろっていわれるとなかなか挙げられませんね。

宮崎駿

一言コメントでした。頑なまでにゲドのことは語りたくないようですねw。大人げねーなw。

河合隼雄

自分のカウンセラーとしての仕事とゲド戦記を結びつけて語っています。
…ぼくはいつからか河合隼雄ユングが信用できなくなっているんだよなぁ。
おもしろいけど何一つ心に響いてこないような…。
そんなバイアスがあるせいか、これを読んでも僕は何にも思いませんでしたね…。

清水真砂子

言わずと知れたゲドの訳者ですね。さすが訳者は深いことを語ります。ル=グウィンと個人的な交流もあり、作者の性格にまつわるエピソードも楽しいです。

上橋菜穂子

人類学者で、精霊の守り人の著者ですね。これを読んでもあんまり思うところはありませんでした。

中村うさぎ

中村うさぎがゲドの何を語るんだよ!って思ったらすごいまとも。正直感心しました。
彼女の解釈では、一話は自分を受け入れる話。二話は他者を受け入れる話。三話は死を受け入れる話…と。なるほどね〜。

清水真砂子以外では一番納得できたゲド戦記論でした。

佐藤忠男

映画について語っているんですけど、映画は出来が出来だからなぁ。”意欲作”っていうところしか褒めるとこはないですね。

河合隼雄×宮崎吾郎

宮崎吾郎の気持ちは分からなくもなかったですね。たしかにアレンを作のまま書くといいこちゃんだしなぁと。現代の日本でゲドを作る意味ってものも意識したかったっていうのは分かる話。でもけっきょくアニメじゃ難しいんだよねぇ。”みえぬものこそ”ってどうやってアニメで見えぬものを描くわけよ…。アニメってメディアで一番伝わりにくいものに挑戦しちゃったんですね…。