悪魔のミカタ666スコルピオン・オープニング うえお久光

悪魔のミカタシリーズの第二部です。待望の一作ですね。


第二部から読むのは敷居が高いので、新規読者はブックオフなどで第一部をまとめ買いしてからってことになるのでしょうか。僕はそこまでする価値は十分にあるシリーズだと思っています。以下ではこの悪魔のミカタシリーズの魅力を語っていき、最後に第二部のネタバレ感想に続こうと思います。

個性的なキャラクター

この悪魔のミカタに出てくる人物は一人一人が自分の思惑を持っていて、考えていることが個性的でバラバラなんですよね。でも、そのバラバラの変人たちが、それぞれの大事なものや信条をかけて行動します。この一人一人の行動理念がすっぱりしていて小気味良いです。

主人公コウも、自分の恋人を蘇らせるという目標のもと、犠牲を出すのを覚悟して物事に当たっていきます。ただ、彼の場合はそうはいっても友人を犠牲にできなかったり一貫してない部分もあり、そういう迷い、選択が彼に感情移入させやすくしますね。


また、彼のまわりにいるヒロインたちも十分魅力的です。この作品は主人公がもてもてでして、わりとハーレム的な展開ですが、ヒロインたちもこれまた一癖二癖ありまして、単純な萌えに還元できない魅力があります。

ダークヒーローもの

死んだものは生き返らない、死人もそれを望まない。そういった価値観がファンタジーの基本で、今回のようにさまざまな犠牲を出してでも恋人を蘇らせようというのは、一般的には十分”悪”たる存在です。その悪が主人公なため、展開が読めない部分があり、それがおもしろさの元ですね。簡単に言えば正義が主人公なら最後には正義が勝つのだろうという予想がなりたりますが、悪が主人公なら悪をつらぬいて終わるのか、改心するのか読めないのです。
実際主人公コウは恋人を蘇らせるのか?ここが1巻から続く大きな問題です。普通の価値観なら蘇らせないほうに落ち着くと思うのですが、この作品ではほんとに読めないです。

熱い展開、知恵をつかったバトル

ドラゴンボール幽遊白書以降、ほんとに力と力がぶつかるガチバトルよりも、特徴のある能力で互いの弱点をつきあう知恵を使ったバトルが好まれるようになっています。ワンピースなんて典型的ですね。ブリーチはむしろ力と力になりつつありますが。

この作品では知恵の実という不思議な道具を使った熱いバトルが繰り広げられますが、どれもくせもので逆転の連続です。切り札を見切ったほうが勝つって感じですね。どんな知恵の実もどういう知恵の実か明かしてしまうと、対策が立てられてしまう。そういうバランスの上になりたっています。

このように知恵を使ったバトルですが、一つ一つの戦いは十分熱く満足いくものです。

第二部感想

さてここから先はネタバレです。未読の方は注意しましょう。



第一部は13巻もあり、かなり登場人物も増えてきましたが、今回は洋平を敵と認識するところで終わってますね。確かにもう新しい登場人物を増やすよりおもしろそうな展開だと思いました。もともと一致団結にはほど遠い面子ですし、このような展開が好ましいでしょう。もちろん前回からの敵やさらに第三勢力も出てきていますので、どうなっていくのかは分かりません。もちろん人類にとってみれば、悪魔のベルゼバブが最大の敵であるという考えも成り立ちますね。


今回はコウが発情するということでわりとやらしい展開ですが、なんか男として彼の気持ちも良く分かり、僕は非常に楽しめました。僕は今回ある意味大きな成長を遂げるイハナを応援しちゃいますね。綾先輩も悪くないんですけどね…。あの人はこの作品ではひどい目ばっかりあってて、そのためにちょっと強くなると人気を無くし…(無くすかどうかはわからんけど)不遇ですなぁ。


今回は第二部の一巻ですし、まだまだどうなっていくかは分かりません。でも方向性を見るだけでも楽しそうですよね。続刊への期待を高める一冊でした。さすがうえお久光

シフト うえお久光 - ブレーキをかけながらアクセルを踏み込む
悪魔のミカタ うえお久光 - ブレーキをかけながらアクセルを踏み込む