終わりのクロニクル  川上稔

終わりのクロニクル 1(上) 電撃文庫 AHEADシリーズ

終わりのクロニクル 1(上) 電撃文庫 AHEADシリーズ

7巻まで読了…。疲れましたね。
7巻っていっても基本的に1卷で上下卷ありますし、3巻は上中下になっています。
7巻は唯一分かれていませんが文庫史上に残る厚さを誇るので、けっきょく普通の文庫に直すと15巻分あると思っていいと思います。


それで内容ですが……おもしろいですね。
まず”10の平行世界と概念戦争をする”世界観がなかなかです。
そのとき各地の竜神話(たとえばヤマタのオロチとか)が取り込まれているのも完全な創作より逆に凝っているし、また日本の歴史、(たとえば震災とか)なんかもこの概念戦争に関連付けているところに惹かれます。


扱っているテーマも1卷1卷それなりに重く、一瞬戦後補償の問題とかが頭に上ります。
そのため真剣に読むことができ、感情移入できると思います。


話の展開もこちらの期待をうまく裏切ってくれて、うまいと思いました。


ただ、問題点をあげるとすればちょっとエロすぎるというかふざけすぎているところでたとえば最終卷の表紙裏の挿絵とか緊迫感が薄れますね。まぁ程度問題なんですけど…このへんはあんまり趣味じゃないですね。あとがきのチャットも意味不明だし人物紹介のところもいまいちだと思いました。


文章表現全般に関しては熱い台詞が多くて非常にいいですね。すごく盛り上がります。
しかし、不親切な部分も多いですね。巻が進むにつれそれなりに解決されるのですが、基本的に3人称で話が進んでいるため視点が誰なのかはっきりしないままに地の文でそちらとかこちらとかいう表現が多いとどちらなのかよく分かりません。
戦闘シーンも台詞はかっこいいのですがどういう状況なのかつかめないことがよくありました。
(個人的には戦闘シーンがすこし長すぎるかなとも思います)
またこのあたりは読まないと分かりませんが概念を用いた戦闘はトリッキーでおもしろいのですが、結局なんでそれだと勝てるのかとかがはっきりしなくて爽快感に欠けた部分があったと思います。あと細かいですけど言い回しが微妙についていけないところがありますねレイパーとかセメントとか…。そのあたりもう少し一般的な言葉使いにならないかなぁと思いました。



まとめますと、基本的にすばらしい大作なのですが、細かい部分に欠点が目立ちますし、無駄にっていうと何ですが無駄に長いので不親切な部分があって読みずらいのはけっこうきついという評価です。