好き好き大好き超愛してる 舞城王太郎

好き好き大好き超愛してる。

好き好き大好き超愛してる。

この小説は好きな人が死ぬというテーマで中心となる話はあるものの同じテーマで平行して成立する話が何作か挟まるというちょっと変った構成になっている。

芥川賞の候補にもなった。



ここから先は感想になるが、世界の中心で、愛をさけぶを読んでからのほうが面白く読めるんじゃないかとおもう。


世界の中心でのほうは僕は自己中心的に間違いじゃないのって思うくらい主人公の自己中っぷりが目立ったが、好きな人が死ぬ時ってのは、似たような経験があったりすれば分かるけど、そう自己中心的にはいられないんじゃないかと思う。舞城王太郎の書いていることのほうがリアルっちゃリアルに思えた。


今の人もこんな口調などうかはしらないけど、言葉使いなんかは僕には親しみがわく感じだった。だから恋愛小説として読んだときに古臭いとは感じなかった。


舞城王太郎の中では熊の場所が好きって書いたけど、この好き好き大好き超愛してるのほうがいいかもしれない。今読んだばかりだからもしれないけど。


いつか僕は口ではっきりとかけることをそのまま書いたのでは純文学にならない。どこかわからないところを残さないと…。って書いたと思うが、本作品ではそれをわざわざぼかしたりはせずに、はっきりこう思うってことを打ち出していると思う。だから読後感はさっぱりしているが、かといってこの感じが物語りじゃない形式で伝えられたときには違う印象になったとおもう。物語という形式で伝えられるからこそいいんじゃないかと思った。


そういうのぼかしてない分もしかしたら芥川賞向きじゃなかったのかなぁって思うけれども、かといって芥川賞を狙うような作風でいくのも舞城にとっては意味がないと思う。


まぁ何にしろすごくおもしろい作品だった。

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