Fate/stay night Type Moon

Fate/Stay night 初回版

Fate/Stay night 初回版

シナリオがすごく凝っていて面白いゲームです。
演出もかなりこっていて戦闘シーンとか、なかなかかっこよいです。
まぁそういうのはどこに言っても書いてあることなので今回はあえて内容について語ってみたいと思います。ALLネタバレです。


まずなかなか長いので漫然と読んでいて重要なこともとばしている可能性があるので状況確認から。


シロウは正義の味方になりたがっている。それは10年前の事件じ自分が養父に助けられたとき純粋に嬉しかった。そして助けたほうの養父もすごく幸せそうだった。そこで助けられなかった人がたくさんでたが、そういう人はなるべく出さないようにしたいと思っている。養父の最期に正義の味方になることを約束。


セイバーは王として小を殺し大を生かし生きてきた。しかし運命のいたずらで国は荒れ果ててしまい、王になったことを悔やんでやり直そうとしている。

アーチャーはシロウが正義の味方になろうと思ってそれを実践してきた結果できた英霊。なるべくたくさんの人を救うために少量の人を虐殺し続ける。しかし正義の味方になりたいという望みはつまるところ「自分の周りの人、自分が見ている人だけでも幸せにしたい」ということから来たはずだか英霊の仕事は「救われない人を効率よく見捨てるだけの仕事」であった。そのギャップからそもそも英霊になったことを後悔している。また救うべき人だと思った救った人に裏切られ続け、磨耗し人間の価値を信じることができなくなっていた。あわよくばシロウを殺して英霊になった過去を取り消したい。


そんな初期状態だったのが

Fateではセイバーの小を殺して大を生かしたときの痛み、それもこれも全ては人々の笑顔が見たかったという気持ちをシロウが肯定して、セイバーの生き方を正しいと認める。それをなかったことにするなんて間違っていると説得する。自分の信念どおり行動したなら、それが正しいのだと。そうしてセイバーは認められやり直そうということをやめる。

Unlimited Brade worksではアーチャーとシロウの戦いの中でシロウは「他人を助けるために生きる」という生き方は偽善だがとにかく美しいじゃないかと気づく。
それはただの理想で現実的には不可能かもしれないけどそれにあこがれて生きることが間違っていようはずがないと信じて、その信念でアーチャーに勝つ。(ここではアーチャーはシロウの心を折れなかった時点で負け)つまりそもそも現実的にどうだどか結果を求めたものではなかった。ただ信念とそれが貫かれた人生は美しいというだけのことだ。

そして三話目のHevens feelではたくさんの人を生かすために一人を殺すということを諦める。見ず知らずのたくさんの人より、自分が幸せにしてあげたい人を助けるという選択をする。

だいたいこんなまとめでいいと思うんだが、気になるのは1,2話の理想と3話の行動の逆転である。三話ではエンディングではなんとかことをおさめるがおさめられなかったら世界が滅びかねない。主人公の行動はそれまでのに正義の味方の定義からははずれている。三話は自分が気に入った人を救うのであり、理想への近さよりも感情をとっている。

3話でも理想を追うことが美しく正しいと思っていたのだがその理想では自分が望まない結果を生むことに気づくのである。

シロウの望みは「自分の近くにいる人の幸せ」なのであり一番近くにいる人を幸せにしないことには他の幸せに向かっていかないのである。まぁこれはあたりまえといえばあたりまえで、誰でもそう思っていることである。

ではFateは3話を通してそんな当たり前のことに気づくだけの話なのかっていわれるとどうだろう。3話目を踏まえると1,2話は間違っているということになるのだろうか?

これはさすがにそうではなく、1,2話目と3話目では状況が違って信じるものも違っただけなのではないだろうか。「自分の信じる道を信じて歩く」ことこそが肯定されるべきものであって、何を信じるかっていのは実は状況に依ってしまうということだと思う。

話目は結論は当たり前の話だが、いままで信じてきたものを捨ててまでそれを信じたところが良いのではないかと思う。

ここまで述べておいてなんだがそもそもFateは思想性が問われる作品ではないのではないかと思う。そこを期待して買った人は少ないのではないか。それでもここまでがんばって書いたことに敬意を表したい。
買った人たちの感想で「期待を裏切らなかった」っていう感想が多かったが月姫そのものの複製ではなくこのような新しい試みを一つ一つ丁寧に行おうとしたその心意気あってのものではないだろうか。

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