サクラダリセット  河野裕, 椎名優

世界を三日間だけ巻き戻す能力を持った少女と巻き戻す前の世界の記憶を残せる少年の物語です。

綺麗な絵に惹かれて買いました。ビジュアル的には表紙の春埼美空よりも野ノ尾盛夏のほうが好きなんですが。

話の本筋とはちと離れるんですが、このお話中にでてくるスワンプマンの問題に興味が湧きました。

ある男が沼にハイキングに出かける。この男は不運にも沼のそばで、突然 雷に打たれて死んでしまう。その時、もうひとつ別の雷が、すぐそばに落ちる。なんという偶然か、この落雷は沼の汚泥に化学反応を引き起こし、死んだ男と全く同一形状の生成物を生み出してしまう。

この落雷によって生まれた新しい存在のことを、スワンプマン(沼男)と言う。スワンプマンは原子レベルで、死んだ瞬間の男と同一の構造をしており、見かけも全く同一である。もちろん脳の状態も完全なるコピーであることから、記憶も知識も全く同一であるように見える[1]。沼を後にしたスワンプマンは、スタスタと街に帰っていく。そして死んだ男が住んでいた部屋のドアを開け、死んだ男の家族に電話をし、死んだ男が読んでいた本の続きを読みながら、眠りにつく。そして翌朝、死んだ男が通っていた職場へと出勤していく。

スワンプマン - Wikipedia

中高生的な問題意識ですが、人が誰かを好きといったとき、その誰かの何を好きと言っているのか悩んだことがあります。体と記憶が前と同じなら魂的なもの?(非科学的ですがw)が違っても良いのでしょうか。スワンプマンとは逆に、ひとりの人間が魂的なものの連続性を保ったまま体や性格を変えたらどうでしょう。

この問題に対する本書の答えは面白くて、人は”その人の過去を愛することができる”というものでした。なかなか納得の答えですね。

全然話が変わりますが、著者の河野裕グループSNEの方だそうですね。TRPGのファンとして、広い意味で応援しています。