15×24 link one, two, three, four, five, six 新城カズマ, 箸井地図
自殺志望をする徳永準を中心にそれを止めたい人、そうでない意図を持つ人いろいろ集まった15人の24時間を描いた6冊です。
まぁ普通に面白かったものの、本作の高い評判に期待しすぎたのか、そこまででもなかったなという印象もありますね。
本書はドラマの24みたいに短い時間を濃密に描いています。15人の行動のスケジュールをすべて考え整合性をとるのはなかなか大変なのではないでしょうか。こういう試みは冲方丁のスプライトシュピーゲルなどでもなされてますが、比較的珍しい試みです。
また、登場人物15人がそれぞれの視点で事件を見つめるというのも面白いですね。語り部が15人もいて、その視点も口調も考え方も人それぞれとなっています。これも凝っていますね。
総じて小説として凝っていて準と心中しょうとする17とは誰なのか?目的はなんなのか?というミステリ的なところも読ませる、自殺を取り扱っており、青春群像としても共感できる、自殺というテーマに大して伝わってくるメッセージがあるなど良いところを多く挙げられます。
ただ、最初に言った通り、どうもすっきり褒められないところもありますね。個人的にはサマー/タイム/トラベラーのほうが面白かったです。ひとつには話の裏事情が十分明らかにならないところが不満なのかも。歯切れの悪いレビューになってしまいましたが今日はこんなところで一つ。