あなたのための物語 長谷敏司

あなたのための物語 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

あなたのための物語 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

SFが読みたい! 2010年版で2位に輝いた作品です。僕は、著者の長谷敏司スニーカー文庫から出している円環少女が好きだったので読んでみました。

僕はあまりSFをたくさん読んでいるわけではないのですが、それでも良いSFの条件というのはなんとなくわかります。それは、新しい科学技術によって引き起こされる個人的、あるいは社会的葛藤の描かれたものなのではないでしょうか。

本書は、脳の神経パルスを再現するナノマシンの開発者とそのナノマシンのデモンストーレーションのために作られた人工知能が登場し、その二人の交流をもって”人間と機械は何が違うのか”などの王道のテーマが展開されています。

小説的な企みも凝っていて、主人公の考え方の変化が強調されるようなつくりになっていますね。

表紙も派手じゃないし、登場人物も決して萌えられる人格をしてないし、派手な戦いも起きませんが、それでもどんどん物語に引き込まれていき、あっという間に読んでしまいました。

読後感もすばらしく、”またこういうSFに出会いたい”とすぐにアマゾンで売れているSFを検索してしまったほどです。

ついベタ褒めしてしまいましたが、大変オススメな作品です。ぜひどうぞ。