428 ~封鎖された渋谷で~ チュンソフト

428 ~封鎖された渋谷で~(特典無し) - Wii

428 ~封鎖された渋谷で~(特典無し) - Wii

428=しぶや、のレビューです。

このゲームは、実際の俳優が演技している実写の画像を使っていることが特徴のサウンドノベルです。10年ぐらい前にやはりチュンソフトが出している”街”のコンセプトを引き継いでいます。”街”ではその当時では目新しかったZAPPINGという手法が用いられており、場面と登場人物が次々と入れ替わりながら話が進んでいきます。街ではこのZAPPING中心に話が進んでいきますが*1、428ではサウンドノベルらしい”選択肢”もなかなか悩ませる出来で完成度は高くなっています。

シナリオはどんでん返しの連続でした。ネタバレしないためには少ししか紹介できません。物語は誘拐事件の現金受け渡しから始まります。誘拐された姉のマリアを助けるため、双子の妹である大沢ひとみが現金を持ってハチ公で誘拐犯を待ちます。最初は犯人確保のために張り込みをしている加納慎也と、そこに偶然通りがかる、チーマーの元ヘッド遠藤亜智の視点から物語は語られますが、徐々に大沢ひとみ、その父でウィルスの研究者、大沢賢治、熱血ジャーナリストの御法川実、さらに謎の猫のきぐるみをきた少女などの視点が加わって、物語が多彩かつ意外な方向に進んでいきます。

428は”街”と同じく、渋谷を舞台にしています。渋谷という街は若者が多く、何が起きそうな場所ですね。一本裏道に入ると雑然としていて、謎が転がっています。10年前を回想するシーンでは”街”の事件などが語られるなど、”街”を遊んだ人には懐かしい演出がなされています。

僕がこのゲームで一番印象に残ったのは大沢ひとみ役の近野成美*2の演技力でした。ネタバレなので詳しく言えませんが、近野成美にはいろんな難しい演技を要求されています。それを静止画の表情ひとつで、場面の雰囲気を十分に伝えてくるので、僕は心を打たれました。

428では街よりももっと物語の集積度は高く、最終的には一つの事件に収束していきます。この話のながれも非常に見事でしたね。


最後に主題歌、上木彩矢の世界はそれでも変わりはしないのビデオでも貼っておきましょう。

*1:コメント欄でのご指摘の通り、街にもちゃんと選択肢があります。曖昧な記憶で書いてしまいもうしわけありません。僕は選択肢で詰まった記憶がほとんどなく、ZAPPINGの部分しか記憶に残っていませんでした。

*2:428 | 近野成美オフィシャルブログ「ソラニン」by Ameba