夜は短し歩けよ乙女 森見登美彦

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

森見登美彦著のもので僕が読んだものとしては2冊目です。以前には太陽の塔を読んでいます。

主人公の情けないけど男らしい感じと、黒髪の乙女のかわいさですっきりとして読後感の良い青春小説になっています。

本書は主人公の視点と黒髪の乙女の視点が交互にならんでいて、その小説的な企みが良く効果を発揮していますね。ところで、女性の視点をかわいく書く場合、詳細な観察に基づいたリアルな文体が一般には求められるのかなぁと思っていたのですが(舞城王太郎とか)、本書の黒髪の乙女のような非現実的な”私”がこんなにもかわいく嫌味なく感じられるというは新鮮でした。カヴァーデザインのせいもあるかもしれませんね。もっと男に媚びたタイプの女の子が描かれていたらこうした感想は抱けないでしょう。