スプライトシュピーゲルIV テンペスト 冲方丁

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このスプライトシュピーゲルオイレンシュピーゲルと共通の世界を舞台にし、2シリーズの物語が絡み合ったり離れたりしながら進んでいきます。

この2シリーズの第一巻が出た時、オイレンシリーズとスプライトシリーズの差はなんだろうと考えました。僕は一つにはキャラクター表現でスプライトシリーズでは、鳳(アゲハ)が銃を掃射する時に「御奉仕しますわー」といったり振り仮名に「ダダダダダダダダダダ」とかつけたり、少しふざけているというとかアニメっぽいというかそういう表現が目立つところが違うのかなぁと思っていました。乙(ツバメ)にしろ雛(ヒビナ)にしろ、決め台詞をいいながら攻撃しますよね。

しかしスプライトシリーズの扱っている世界情勢があまりにもシリアスで、これらの表現にキャラクターの内面が見えてきてしまうようになりました。過酷な環境で戦ってる、その中でのいっぱいいっぱいな叫びのように聞こえてきます。

本巻では、やはり大きな事件が起こります。その背後の事情があまりに複雑かつ各国の利権がからんでいるため、途中で状況を把握するのを放棄してしまいましたよ。もう一回読む必要がありそうです(笑)。

まぁしかし、そういった複雑な背景事情は本巻の本質ではありません。本巻でもっとも着目すべきは、オイレンシリーズの登場人物と言葉で、作戦で、協力しあうところです。スプライトシュピーゲルとオイレンシュピゲールは3人のチーム+バックアップという構成が同じで、お互いにとって鏡のような存在です。がんばっているのは自分だけではない。相手のチームも厳しい状況の中で最善を探しているというのは、すごく励まされる状況ではないでしょうか。僕は今回スプライトシリーズを先に読み、オイレンシリーズを後に読むことになるわけですが、スプライトシリーズを読んでいても彼らの努力を想像して、感動してしまいます。

この2シリーズはほんとうによくできた構造になっていますね。