嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 3 入間人間

この小説良く続いていますね。西尾維新戯言シリーズと似てるところがある本作だけど、僕はこっちのほうが好きですね。どこが好きなんだろう。うまく言葉にできるかなぁ。

まず、まーちゃんのヤンデレっぷりに。個人的に本気で萌えられないところがナイス。ちょっとあまりにやばいですよw。ここを半端に萌えられるように書かないところで逆に、まーちゃんに付き合う主人公のすごさが際立つ。

あと、戯言シリーズとの違いは主人公の自分の嘘に対する距離感かなぁ。本作での主人公の嘘っていうのは、一つには厳しい世界に対する防衛機制みたいなものなのかな。とりあえず嘘だって言っておくと受け入れやすいというか。その世界の厳しさを一応受け入れた上で自分にやれる範囲でその現実を受けいれられるものにするための一つの癖が嘘ってやつなのかなぁと思います。現実を受け入れないために嘘にしているわけではないことに注意してくださいね。「Aです、嘘だけど」というのは、単にAを否定しているのではなく、「Aが嘘であり、ほんとはBである」っていうことが分かっているんだけど、素直に「Bである」とは言いがたい気持ちを表しているのだと思います。ここで大事なのはほんとはBであるってことが分かっているところですね。

このあたりの主人公の世界との距離感が好ましいのが、本作の良いところだと思います。それで中二病小説から中二病ぶった小説に格があがっています。

本作の具体的な内容には一つも触れませんでした。主人公が最後にする一つの決断がなぜ可能なのかにも、主人公の世界に対する態度が関係していると思います。そら平和が一番。でも平和じゃないんだから守りたいものははっきりしている。どっちも救うことをぎりぎりまであきらめないけど、いざあきらめなきゃいけないとなれば即座に判断すること。これは物事の優先順位が決まっていないとできません。そのあたりの結論は主人公の中で既にでているんだろうと思います。