CARNIVAL S.M.L

CARNIVAL

CARNIVAL

新年早々にしてエロゲのレビュー!まったくしょーもないですね。TRPGのことでなんのかんのと偉そうなことを述べても所詮僕はこういう奴なのです。

僕はエロゲは完全にシナリオライターで買っていまして、しかも田中ロミオとかビッグネームじゃないと買わなくなっていました。さらに本作に関しては、サイコ陵辱ノベルというジャンル付けをされていて、その猟奇的で中二病的な雰囲気を遊ぶ前は馬鹿にしていました(表紙からは伺いしれないのですが、エロゲーマーはそうした雰囲気には敏感です)。カーニバルはよくカニバリズムと関連付けられて語られたりするので、食人関係のギャグのつもりかなぁとか、まぁなんにしろ良い印象はもっていませんでしたね。


年末、ものすごく忙しい時期が終わって時間ができたのと、Something Orange様で何度も何度も紹介されているのを見てちょっとやりたくなりました*1。でも、この時点でも僕は”まー最悪エロけりゃいいよ”的な態度でそんなに期待していませんでしたね。

それが、1週目終わって”おや?”視点変わった二週目終わって、”はーなるほど…”、さらに視点が変わった3週目終わって”そうかぁ…こいつは深いぜ”と印象が変わっていきました。おなじ話を違う視点からみせるというのはノベルゲームの得意とするところですが、久しぶりにそのポテンシャルを生かした作品にめぐり合えて嬉しかったです。

この作品のよさはひたすらテーマによるところが大きいです。カーニバル、謝肉祭、現在の運営のされ方はともかく神の恵みに感謝するお祭りなはずですね。キリスト教における”原罪と神の救済”を”一般的な罪の意識と他者からの救済”に結びつけたのは非常にナイスでした。

僕が好きなのは「信じるって大変なんだよ」って台詞です(好きとか言っておいて正確じゃないかも)。この作品で言う信じるっていうのは、裏切られることがないもの、もはや信仰です。一般的には、自分の中の相手の像が、自分にとって理性的にみえることをもって信じるといい、本人がその像と別のことをするなら、裏切られたと感じるわけですね。日本人は無信教な方がおおいですから、信仰が必要な気持ちがわからないのかもしれません。僕も正直なところそんなに分かりはしないのですが、それはたぶん原罪を背負っているという感覚に乏しいからでしょうね。原罪を背負っていると感じている人は絶対的な存在にでも許されなければ、生きていくのは困難でしょう。

よくエロゲの文章をもってきて稚拙だと述べている方もいいますが、それはまぁ認めましょう。でもその意見はエロゲってものを何ひとつわかってない意見でもあります。エロゲはその稚拙な文章で表される一つの感情を共感させ本当のものするために十数時間にもわたる物語を作っているのです。僕が思う良いエロゲとはそういうエロゲです。その十数時間の積み重ねなくして、文章だけもってきて稚拙だといってもしょうがないんですよね。その稚拙に描写されるまっすぐな思いは、ただそれだけでは、うそ臭く、馬鹿げたものに見えるだけのですが、だからこそストレートで心をうちます。

僕がこのブログでどんなに救済と信仰についての関係を述べても、やはりゲームをやらないとわかってもらえないと思います。文章を読んですませられないところが、このゲームをする価値なのです。

どーしょもない物語でした。まったく救いがたい、馬鹿げた、間違った物語でした。
でもそれだからこそ、登場人物の台詞が本当になることがある。良いシナリオでしたね。

どーでもいいこと

しかし、この作品もKeNが企画でFlyingShineが製作ですか。おもしろい作品は決まったところからしか出ないみたいに思えて少し残念です。