恋空おもしろいのかな?
ggincさんが熱心に考察を進めているので気になってきてしまいましたよ。
God & Golem, Inc.
共感するか否か
魔法のiらんどに行って、ちょっと読んでみたのですが、なかなか読むのが苦しく、結局最後まで読めませんでした。これはうまい下手の問題ではなく、単に取り扱っている題材に個人的に興味が湧かないだけですが。
『恋空』の内容は、陳腐などではまったくなく、むしろ、ある特定のコミュニティに所属する若者のリアリティを、非常に素直に表現しているのではないか。
- 少女漫画・レディコミにおいて示されがちな「上昇志向」への憧れが、一切欠如していること。
- 「語彙の貧しさ」こそが、『恋空』独特のリアリズムを支える最も中心的な要素である
若者のリアリティを評価の軸にしてもいいのかもしれませんけど、それは特定のコミュニティに属してない人にはリアルなのかどうなのかさっぱりわからないということを意味してますね。こういう共感を訴えかける作品にはちょうどいい年頃でぶつからないと全然評価できないのかもしれません。
上昇志向はないけど、恋愛志向があるのが最後の一線なのでしょうか。これもないと無気力すぎて話にならないのでしょうかねw。
桜井亜美との関連は?
内容的には桜井亜美とかと似たような雰囲気でしょうか。あまり両者の関係について考察をみないので両方読んだ人が少ないのでしょうかね*1。
桜井亜美の時には、それなりに心に残る何かがありました*2。恋空もがんばって読み通せばきっとそういうものがあるんだろうと思います。
詳しく読めばまた違うのかも知れませんが、内容自体の新奇性はあまりないように感じます。こういう内容の小説は前からあったし、桜井亜美では炎上せず、恋空で炎上する理由がいまいちわかりませんね。
そうそう、一つ共通点を追加しておくと、桜井亜美のイノセントワールドは、作中で宮台真司に勧められたのでこの本を出版するという形になっていまして、”これは実話です”と書くのはよくある手段なのではないかと思います。
メディアが問題?場が問題?
内容が問題ではないならば何が問題なのでしょうか。やはりもともと携帯小説であったというメディアの問題が決め手になっているのでしょうか。
「この『恋空』は一体、既存のどの出版商品として読むべきなのか?」を考えさせる、まったく予想もつかないスタイルであり、商品パッケージングであったこと。それこそが、『恋空』にまつわる異常に熱狂的な言説空間を形成したのではないだろうか。
God & Golem, Inc.
確かにそれも一理あるようには思うのですが、amazonのレビューに寄せられているのは、メディアに対するつっこみというよりも内容に対するツッコミが多いように思いました(数えたわけではなく印象ですけど)。
今回の騒動と、例えば”世界の中心で、愛をさけぶ”で巻き起こった批判との差異が僕にはまだ見えません。”話題の本→買ってみた→自分には合わなかった”という流れは全く同じなのではないでしょうか。今回新しかったのはアマゾンのレビューが”騒げる場”であるという発見で、元が携帯小説であったから起きた問題のようには思えないのでした。
元が携帯小説であったから話題になったっていうのはいいのですけど、恋空のジャンルは世界の中心で、愛をさけぶ、Yoshiの小説と同じと思ってもいいし、もうちょっと遡れば桜井亜美、金原ひとみとかと似た路線で、ジャンルわけに困ったりするところなのかどうかが疑問です。恋空のジャンル分けに苦しむ方々はこういう本を読んでこなかったってことかもしれませんね。
*1:単に僕が見つけられなかったという可能性もある