街 ~運命の交差点~ 特別篇 セガ チュンソフト

街 ~運命の交差点~ 特別篇 - PSP

街 ~運命の交差点~ 特別篇 - PSP

http://chun.sega.jp/machi.html:公式サイト体験版もあり。
http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20060515/chun.htm

ドラクエの影響もあって、中村光一が好きなんですよね*1。彼が作ったゲームなので気になっていました。弟切草かまいたちの夜のようにサウンドノベル系のゲームなんですが、実写の映像を元に作られた異色のゲームです。若い窪塚洋介とか出演してます。

僕の個人的な興味もありました。TRPG遊戯会で”他のPCを信じて行動することで、シナリオが有利に進むようなそんなセッションギミックないかなぁ”とか、ものすごく抽象的な質問をしたときに某アル中の黒猫さんがヒントとして教えてくれたソフトだったんですよ。まぁそんなこんなで気になっていた街をGWを使ってクリアーしました。

ゲームシステムとしては8人のPCを並行して進めるサウンドノベルで、あるPCでプレイしていて、違うPCに出あったり、話に出たりすると他のPCに視点が移動するZAPというシステムが他のサウンドノベルにはないところです。そして、あるPCのバッドエンドを変えるためには他のPCも動かさなきゃならないとかそういう工夫がこらされています。昔ファミコンでスイートホームとか貝獣物語とかありましたけど、そのへんのイメージでしょうかね。実はこの2作は友達のうちでちょっといじったことはあるけどクリアーしてないんで本当かどうか自信がないんですけどね。
あとはエロゲ関係で調べているとこのソフトの名前は何度かあがりました。生贄の教室*2はこの”街”のシュレディンガーの手をパクってるんじゃないかって話を聞いたり、最果てのイマ*3ハイパーリンクシステムはこの”街”が元ネタだとか…。

8人を並行で進めるときに全員がどこまで進んでいるのかなどわからないと、記憶を頼りに非常に煩雑になってしまいますが、そのへんのシステムもよくできています。PSP版からなのか、昔からあったのかは知りませんが、8人の行動が時系列で整理されていて、一回読んだところまでは簡単に視点移動できるってのは非常にわかりやすかったです。Remember11*4も一回クリアーしたらこれを見せてくれれば相当わかりやすかったのに。

僕は、オタク刑事の話と牛と馬の話、あと七曜会の話が好きでしたね。ただ、ちょっと思っていたのと違ったのは、”街”では5日間8人のPCの運命が絡み合いますけど、基本的に別々の目的をもってばらばらに行動してるって感じなところでした。PLの視点からみれば、あそこのバッドエンドを回避するために違うPCを動かしたりするんですけど、PCの視点からすれば単なる偶然なんですよね。話も一つの物語を別々の視点で見たというよりは、それぞれほんとうに別々の語でした。
予想とあってないからつまらないというつもりもないんですけど、これはプレイ時間がかなりかかったわりには短編8本を読んだという印象で、長編の満足感がありませんでしたね。まぁ昔のゲームなんで、ちょっとプレイ時間に関する感覚が変わってきてるのかもしれませんけど。最近DSで、世界樹の迷宮*5とか逆転裁判*6とかを遊びましたがそれぐらいの分量じゃないと”長い”って感じてしまいますね。

まとめますと、意欲作で大変興味深い作りなのですが、僕は長いわりには”大作感”にかける作品だと思いました。おもしろいんですけど、時間のある方向けですね。

追記

思うにシナリオが短編の感じがするのは、PLがPCを操って物語を進行させるところに”続きが読みたいから”以外の理由がないからだと思います。PCがPLの分身であるようなゲームではPCの目的=PLの目的のように思って行動させやすいですが、視点が複数になるような場合ではPCの目的とPLの目的が離れてしまうでしょう。これが今回の街の不満足な点につながってるんじゃないかと。
最果てのイマは本文中にリンクをだしたので省略することにして、ひぐらしのなく頃にを例に挙げますと、かけら紡ぎにもちゃんと目的がありましたよね。

”なんでPLがこのゲームをクリアーしたいのか”その理由付けがはっきりしないのがこのゲームの弱点だと思います。

最果てのイマにしろ、ひぐらしのなく頃に*7にしろ、メタの段階をもう一つ増やして三段構えにしてこの問題を解決しています。こういうゲームを作るときには、これに習ったほうがよさそうですね。
図で説明すると

PL(あなたとか私) −> MAIN_PC(物語を読む理由がある) −>SUB PC達(それぞれの物語を生きる)

この真ん中のPCに感情移入することで、ゲームに対するもティベーションがあがると思います。