マルドゥック・ヴェロシティ 冲方丁

マルドゥック・ヴェロシティ〈1〉 (ハヤカワ文庫JA) マルドゥック・ヴェロシティ 2 (ハヤカワ文庫JA)
マルドゥック・ヴェロシティ 3 (ハヤカワ文庫JA)

マルドゥック・ヴェロシティ 3 (ハヤカワ文庫JA)

マルドゥック・スクランブル*1で語られていなかったボイルド(表紙の男)とウフコック(2巻目の左下のいる小金色のネズミ)のパートナー時代の話です。マルドゥックスクランブルは、冲方丁のストーリー創作塾*2も読むと著者の工夫が分かっていいですね。


ボイルド視点で書かれているためか、文体がなかなか独特で/とか=とかがいっぱいでてきます。

ページをめくる指が加速する/なんでウフコックとボイルドが仲たがいをしたのか先に知りたい欲望を抑える=この物語の核心。登場人物の数が圧倒的で混乱する/意外な人物関係があきらかになっていく。でもどいつもこいつも何か病んでる。

へたくそなマネですが、こんな感じですね。

1巻ではこの文体と登場人物の多さ(だんだん増えて最終的に50人超えるんですが…)に振り回され、なかなか読む速度が上がらないのですが、2巻の中盤あたりから物語に引き込まれていきました。


あとがきにあるんですけど、著者はこれを書くにあたってけっこう精神的にきつかったみたいですね。登場人物に精神的に相当ダメな人間が多いんですけどそれを一人一人想像してるとけっこうきついかもってのはなんとなく分かります。あと拷問で殺された死体の描写とかがなかなかきつい。資料はみたくないですねぇ。でもそれでも書き上げるっていうのはすごい根性です。ライトノベル100冊選んでないで休養してくださいって言いたくなります。


マルドゥック・スクランブルよりかなり読みにくいですが、確実におもしろい一冊です。我慢して1冊読めばきっと楽しくなると思います。後半に期待して読み進めてください。

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すべては己の限界を見極めるために(仮)に非常に良い感想があります。読み終わった人はぜひどうぞ。