推定少女 桜庭一樹

推定少女 (ファミ通文庫)

推定少女 (ファミ通文庫)

桜庭一樹は思春期の少女を描いたものに定評がある作家で、本作品もその系統です。

以下はネタバレ感想 反転してお読みください。


この作品に貫かれている思想というのは15歳の少女の気持ちはそのときのみのものであって、どんなにがんばっても大人になると忘れてしまう。
でも、そのときの自分の気持ちを大事にしたいよねってことだと思います。
作者にとっては本作品が作品中の人形みたいな意味なのではないでしょうか。


これに対して僕が思うのは”もっと大人を信頼してもいいんじゃないかな”ってことです。
”大人は分かってくれない”っていのが非常に子供っぽい発想です。別にそれが悪いと言ってるわけじゃなくて、誰しもそういう道をたどるという意味です。


大人は子供を体験してきているだから子供のことがわかる…基本的にはそういうことです。
もちろん場合によりますけど、みんな”大人はわかってくれない”って思いながら大人になったんですよ。


わかるっていっても完全に分かるわけじゃなくて、なんかつらいんだろうなぁとか、大人に頼りたくないんだろうなぁとかそういうことですけど。
大人も”子供をなんとかしてあげたいけど、口出しすぎて嫌がられるのも嫌だし”とか
いろいろ悩んでいる。それが分かるだけでも気持ちが楽になるときがあるんじゃないかなぁ。

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