narcissu(ナルキッソス) ステージ☆なな

このゲームはhttp://stage-nana.sakura.ne.jp/で配布されている無料のゲームです。
エロゲ批評空間で評価が高かったのプレイしてみました。
ナルキッソスは花の名前であってこの話はナルシストの集まりの話というわけではありません。

ゲームの出来はまぁ特に悪いというところはありません。
よく出来ているというべきです。
短くて手軽なのもいいと思います。


ただ、個人的にはもの足りなさを感じました。
一連のKEY作品ONE,Kanon,Air,CLANNADなどの特有なのは
自分が感動しようと思ってゲームをしていないと
まったくつまらないゲームになるということです。
このゲームにもその特徴があると思います。
自分が感動しようと思っているかどうかというのは多分にこちらの問題です。
従って読者の精神状態によって作品の価値が上下してしまうという状況になっていると思います。


この感情移入できるかどうかというのは
感情移入させるあからさまな文脈に乗るか乗らないかという問題だと思いますが、
そのとき、その装置に乗る自分を冷静に見つめる自分がいる場合などは乗りにくくなります。
人は人の思い通りになりたくないからです。

たぶん東浩紀がこのへんのことを議論していると思いますが、
僕はメタな仕組みが斜に構えた読者を素直な感動に導くと考えています。
例えば田中ロミオの作品などは大枠や概略をいってしまえば、
そこらのゲームとかわらない古典的な物語になると思うのですが
例えばクロスチャンネルではループの機構を用いて主人公と
プレイヤーの立場を一致させています。

たぶん斜に構えた主人公も読者の共感を呼ぶ機構になっていると思います。

つまり、冷静な自分をもさらに取り込むためには
作者もメタな仕掛けを容易するとかひねた主人公を容易するとか一工夫必要で、
うまく言えているかわかりませんが、
その一工夫がこの作品には足りないのでないかと思いました。