デカルトの密室 瀬名秀明

デカルトの密室

デカルトの密室

少し前に読んだのだが、いまいちわからない部分もあって
もう一度読み返してからとおもっていたが、
なんか読みかえさなそうなので、もう感想を書いておくべきだと思う。


この話はロボットの作成というものを通して
知能というのはなんなのかを考える機会を与えてくれる。


たぶん作者もフィクションとしての出来よりも
その分野に興味をもってもらえるかを優先して書いていると思うので
物語はもちろんおもしろいが現段階の科学が何がわかってなくて
そこがこうだったらという想像力が、アイデアがおもしろい。
(たとえば人間らしいを問うなら機械らしいとはなんだとか)


ところで最果てのイマは、
意識というのは脳があればいいみたいな感じで始まるがそこに少々違和感がある。
脳の研究にとって身体性はすごく大事だ。
もちろんよく考えればめくじらたてるほどのこともないんだと思うが
力点のおき方が古風だと感じた。
田中ロミオもよく調べてはあるものの、もう一息な感じもする。
意味がわかりにくいのでもう少し具体的に言うと
脳は体中の神経と情報をやり取りして今の形態というか処理方法を保っていて
体の構造が変わるともちろん”考え方”までもかわってしまう。
たとえば目の時間分解能が圧倒的にあがったとすると全部静止して見えて
しまって運動という概念がうまれなくなってしまう。
そういう意味では体の形態がむしろ脳の情報処理の仕方を規定しているといえる。
だからよくある脳だけになってバーチャルリアリティの世界で
体があるという状況は感覚機器やインプット、アウトプットを
一つ一つを人間のものと同レベルにしておかないと
極端な話人間が意識と読んでいるものが生まれない可能性すらある。
上ではそういうことがいいたかった。