涼宮ハルヒの憂鬱 涼宮ハルヒの溜息、涼宮ハルヒの退屈 谷川流

涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの溜息 (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの溜息 (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの退屈 (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの退屈 (角川スニーカー文庫)

このシリーズは昔セカイ系のことを調べているときに目にとまったのですが、たまたま見たサイトであまりにも酷評されていたので、逆に印象に残っていました。今回空の境界(感想は明日)を買いにジュンク堂に行って、ぶらぶらと地下一階もみていたらなんとなく惹かれるものがあり買ってみました。(数日前に宣言した惰性で買わないというのはつまらないと思っている作家の作品をなんとなく買い続けることなのでそれには該当しません。)


感想なんですが、
複雑な設定でなかなかおもしろいと思いました。


ここから先はネタバレです。


誰でも思ったことがほんとうに起こったらいいなぁなんて思うことはあると思いますが、本当に起こるなんて信じられないので「本当に起こったらほんとうにいいのか?」まで考えたことはないと思います。
思ったことが即時にかなうなんて、そんな状況になってみないことには分かりませんが、多分おもしろくないのではないかと思います。というかしばらくは面白くても飽きてしまいそうです。飽きないためには願いが叶わないことが必要です。
この小説はSFによくあることですが、ありえない設定で問題の本質を語ろうとしていてなかなか興味深いと思います。


上で複雑な設定と書いたのは宇宙人、超能力者、未来人の間で、いろいろな立場があり、それぞれの目的のもとで基本的に行動しているところです。
これはやりすぎると人物が典型的になってしまう気もしますが、今の段階では三人やその裏の組織の思惑がどんなものなのかはおおまかにしか語られていません。
その対立なんかもあると物語が面白くなると思います。


ちょっと心配なのはこの作品にはいろんな伏線がはってありますが(宇宙が三年前からできているとかできてないとか)その謎を回収できるかどうかが心配です。涼宮ハルヒの憂鬱の段階ではその謎を回収せずともきれいに終わっていましたが、シリーズ化にあたってそこらへんの謎に触れないわけにはいかないのではないでしょうか。作者はシリーズ化なんて考えてなかったと書いていますので、そこらへんの設定が疑問です。時間の概念もちょっと微妙な気がしますし、大丈夫でしょうか……。


まぁなんにしろなかなかのメタレベルで物語が展開しますので僕は好きです。
http://d.hatena.ne.jp/motidukisigeru/20040615
でmotiduki氏が述べていますが

もっと簡単に言うなら、メタ/ベタは、流行廃りである。アニメならアニメといった娯楽のジャンルにおいて、ベタなものが人気を得て定番化すると、それらをメタ化する作品が生まれ、メタが行き過ぎると客がついてこれなくなって、ベタに戻る。近代/現代は関係なく、単にそれだけのことだ。

この意見に僕も賛成です。集団的にはそう振舞うとして、メタとかベタの好みには個人差があると思いますが僕は基本的に知識や知性を重要視する人間なので基本的な傾向としてベタよりメタを求めます。
涼宮ハルヒの憂鬱 のメタな度合いは僕が好むところでした。