シャングリ・ラ 上下  池上永一

シャングリ・ラ 上 (角川文庫)

シャングリ・ラ 上 (角川文庫)

シャングリ・ラ 下 (角川文庫)

シャングリ・ラ 下 (角川文庫)

アニメがすごくおもしろいシャングリ・ラ、アニメの終わりを待ちきれず、原作の小説を読んでしまいました。

シャングリラはこの原作を元にコミックやアニメが作られています。コミックとアニメはだいぶイメージが違いますね。僕はコミックのほうは表紙しかみてないんですが、主人公の北条國子がだいぶワイルドです。

シャングリ・ラ (1) (角川コミックス・エース 174-3)シャングリ・ラ (2) (角川コミックス・エース (KCA174-4))

僕はアニメ版を先に見ていたので、小説を読むときも村田蓮爾デザインのビジュアルを思い浮かべながら楽しみました。石田香凛が特に好きです。アニメでは後半になって美邦が活発に行動するようになりますが、ちまちま動く美邦もかわいいですね。そうそうあとやっぱりニューハーフのモモコが存在感があります。あの人は最強ですね。

この小説を読んで驚いたのは、この世界のリアルがけっこうアニメ的だったことです。現実では戦闘機の上に立った人がブーメランを投げて、追撃してくる戦闘機はおとせないでしょうw。あとはシリアスな戦闘の場面でいきなり胸の話をし始めたりというのも、ちょっとアニメ的なリアリズムで書かれているところかなぁと思いました。もともとアニメ化、コミック化しやすい要素をもった小説ですね。ミーコが○○になるのは小説的にはありでもアニメにされるとちょっと無理を感じたりと、多少の困難なところもありますけど。

小説の設定としては、”炭素経済”っていうのが秀逸ですね。各国は炭素排出量にしたがって、税金をかけられます。僕は実際の温暖化にあたって炭素排出がどの程度効いているのは疑わしいという立場ですが(かといって炭素をバンバン排出しても良いとも思いませんが)、国際会議などではこういったわかりやすい指標だけが先走りすることってありそうだなぁと感じます。そこにさらに金融工学の破綻などを絡めてくるあたりも面白かったです。

同著者のテンペストも読んでみたいですね。