キャラクターズ 東浩紀, 桜坂洋

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このまえ雪だるまさんと桜庭一樹について盛り上がった。本書もこの辺を問題にしているので興味をひかれて読んでみた。本書では他に、佐藤友哉三島由紀夫賞も話題にあげている。

本書は佐藤と桜庭の受賞を”ライトノベル的想像力の文学への侵入”の記念碑にすることを阻止するためにかかれた、キャラクター小説の形で書かれた批評という形をとっている。

ここで批判しようとしているものを簡単に言うとライトノベルは虚構を描き、小説は文学は現実を書いているという認識であり、その認識の下では小説の賞をとるためには、セックスや死という現実を書かねばならなくなる。

批評をキャラクター小説という形式で書くことが、上記の価値観の批判になるというロジックは以下のようなものになる。文学が死やセックスを描くものなら、私小説が文学の中心になるのはあたりまえだが、実は批評はいまや物語以上に”私”を描いたものとなっている。ならば、批評をキャラクター小説化することで、私を書くことが現実であるという認識を崩せるのではないか。簡単に言えば、死やセックスや私を書いたキャラクター小説を書くことで、死やセックスや私が書かれたものが小説であるという認識を崩そうということである。

さて、そういった動機で書かれたものだったが内容は荒唐無稽で非常に笑えた。