俺の妹がこんなに可愛いわけがない 伏見つかさ

WEBで話題のラノベです。

おもしろいのはおもしろかったんですが、ちょっと読んでから時間が経った今、感想を書こうと思うとどこが新しかったのか紹介するのを難しく感じました。

つれづれと考えたことを書いてまとめなしで済ませようと思います。

ドリーム妹ではなくリアル妹を題材にしている

俺の妹がこんなに可愛いわけがないはタイトルどおり妹が話の中心となります。単純に考えると、この妹が”リアル”であるというのがこの小説の新しいところだと思われますね。つまりラノベやアニメやエロゲなどのフィクションで語られる妹(ここではドリーム妹と呼びましょう)とは違った性質をもった妹が語られています。

ただし、俺の妹がこんなに可愛いわけがないは小説、フィクションですので、リアルとか言い出すのは語弊があるでしょう。東ひろき流のデータベース論を用いるとそのあたりの区別をつけやすいので今回使ってみます。

人物の行動を推測する際、今までの経験のデータベースを根拠にするはずです。

ドリーム妹の代表的な性質は以下のようなものでしょうか。

  1. 義妹である。後に恋愛関係に至る場合に実妹であると問題が生じるため。
  2. 兄を慕う。親しげな呼称で兄を呼ぶ。
  3. 朝起こしにくる。下手すると寝ている上にのってきたりして男性の朝の生理的に気まずい思いをする。
  4. 家事担当。

それに大してリアル妹の性質はこんな感じでしょうか。

  1. 実妹である。
  2. 兄を嫌う。もしくは兄に興味がない。
  3. お母さんでもないのに、なぜ兄を起こしにいかなければならないのか。遅刻するなら自業自得。
  4. あんたのお母さんでもないのになぜ飯をつくらにゃあかんのか?小一時間…

細かい内容は各人の読書経験や家庭環境に依存すると思いますが、こういった行動原理のデータベースを用いて我々は妹の行動を予測しているはずです。ラノベに出てくる妹の行動原理はドリーム妹のデータベースで、リアル妹の行動原理は、リアル妹のデータベースから推測します。

つまり、この小説に出てくる妹がリアルであるという言葉の意味は、彼女の行動原理がリアル妹のデータベースに基づいてるということです。

このリアル妹のデータベースもドリーム妹のデータベースも人によって違うものですので、リアルとドリームの区別も人によって違います。

妹というファンタジー

ライトノベルでリアル妹の登場が新しかったのはなぜなんでしょうね。ドリーム妹じゃなくてもありそうなものでしたが…。よく分かりません。