恋風 吉田基已

これはテレビのほうで存在を知ったのだが、
テレビのCMでは「実妹」であることに焦点が置かれているように感じられた。

所詮虚構の中の話なのに実妹実妹騒いでもしょうがないだろう、
実妹かどうかなんてソフ倫かわす言い逃れをするかどうかじゃないかと思っていた。

実際のアニメのほうの出来も不器用な男の葛藤ものと感じられて、カタルシスのないアニメだなぁと思っていた。

しかし、僕はけっこうおもしろくなさそうでも流行っているものには手を出しておくポリシーがあり、漫画を買ってみた。

とりあえず1−4までそろえてみて、読んだ感想なんだが、確かに新しさを感じた。具体的には主人公と妹の心理描写を書くことによって、お互いがお互いにどう思われるか?というのを強く問題にしている点だ。
こういう言い方をすると古典的に思われるかもしれないが、特にギャルゲーばっかりやっている僕はギャルゲーの「主人公は必ずまわりの女の子に好かれており、嫌われる心配をしない」ところに不思議さを感じていた。
楽しいことのみ書こうとした場合、この強烈な不安は省かれるべきものかもしれないが、僕の経験からして恋愛の冒頭はほとんどこの不安から成り立っていて、これがないと恋愛くささがなくなる。
その点、この恋風は新しいといえると思う。

この作品に対して、僕はこの葛藤こそが注目すべき点であり、相手が妹だということは葛藤を強くさせる要因の一つであり、他の設定に交換可能な要素だと思う。